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特別支援学級の先生語る「子と親の対応」の苦悩 プライベートでも発達障がいの子供と向き合う

東洋経済オンライン / 2024年8月1日 10時0分

計画を立てるのも大変ですが、生徒の対応にも大変さがあると山田先生は語ります。

「特別支援学級に在籍しながら、一部の教科やホームルームで通常学級に参加する『交流学級』の仕組みを使っている生徒もいます。私が担任を持つクラスでも、そういう生徒がいるのですが、通常学級の担任との情報交換や、共有・連絡・調整がとても大変なのです。

また特別支援学級の子どもが、通常学級に参加した場合には、児童間のトラブルも多発します。たとえば、情緒的に障がいがある子だと、手や暴言が出てしまうんです。『言ったらあかん』と言っても我慢できず、『くそ』とか『ばばあ』とか言ってしまうこともあるのです」

保護者の対応でも苦慮する

そして、生徒間の問題は、保護者間の対応に発展することもしばしばあります。

「保護者の方の理解を得るのがとても大変です。たとえば、親御さんの中には、特別支援学級の子と同じ授業を受けることに対して『同じ教室で勉強しないとダメなんですか』『うちの子どもに近づけないでください』と言う方もいますし、乱暴な子がたんぽぽ学級にいると知った親御さんの中には、自分の子を心配して『(通常学級に)立ち入り禁止にできないんですか』と悪意なく言うこともあります。

そうした問題を起こす子どもを持つ親御さんは、ただでさえ子どもの将来に悩んでいるのに、毎回『⚫︎⚫︎君がまた相手を叩いたんです。相手の親も怒っています』と言われると、先生にも、相手の保護者にも電話で謝らないといけないので、負の連鎖が起こっているわけです。

つらいですよね。『学校に行かなければ問題は起きないから』と考えてしばらく子どもを学校に行かせないという選択を取ってしまう親御さんも珍しくありません。だからこそ、親御さんの間の発達障がいへの理解も必要になってきています」

発達障がいへの理解が必要なのは、通常学級に通うお子さんを持つ親御さんだけでなく、発達障がいがあるお子さんを抱えた親御さんにも言える話のようです。

保護者の中には一定数、特別支援学級に入れるのに抵抗がある人もいて、自分の子どもに『障がい者』というレッテルを貼られることを、恐れる場合もあります。

そうした親御さん自身も、自分に偏見があることを認めている場合が多いものの、自分の子がたんぽぽ学級にいること自体を受け入れられず、周囲の数名にしか言ってないという現実もあるようです。

たくさんの保護者が悩む事情

保護者自身が早く受け入れられて、特別支援学級で適切な指導ができると、その先の進路も早く見通しが立てられる一方で、それでも多くの親御さんが悩まれていると語る山田先生。

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