1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

特別支援学級の先生語る「子と親の対応」の苦悩 プライベートでも発達障がいの子供と向き合う

東洋経済オンライン / 2024年8月1日 10時0分

「特にたくさんの保護者の方が受け入れられずに悩んでいるのが、子どもに知的な遅れがない場合です。ASDや衝動性・多動性が見られる子は、必ずしも知的障がいが含まれないので、『たんぽぽ学級の子は勉強できるイメージがないので、私がたくさん勉強させます!』という親御さんもいます。

ただ、そうした子たちはコミュニケーションスキルが低いからグループワークができない場合もあり、通常学級の中に入ると、明らかに埋もれてしまってその子にとって適切な指導をすることが難しくなります。

実際に、特別支援学級で学んで、中学校から通常学級に通う子もいるのですが、大事なのは早めに手を打って、その子に応じた支援なり、居場所を作ってあげたりすることです。それはその子の人生において価値が高いことだと思っています」

山田先生は教育現場にいるからこそ、自身の子どもを特別支援学級に入れることにためらいはありませんでしたが、保護者が抵抗感を持つ気持ちもよくわかるそうです。

今でこそ、3男の特性を受け入れることができたものの、やはりほかの兄弟や、同年代の生徒と比べると「ほかの子どもにできることができない」ことに複雑な思いを持つこともあったようでした。

しかし、自身が知識として持っていたものと、現場で実際にほかの生徒と接している中で見えてきたことの乖離もあったそうです。

「特別支援学級の担任になった最初の年、私は2年生・3年生・4年生・5年生の生徒たちを指導しました。自閉的・情緒的に問題がある子たちでしたし、学力や発達の度合いも違うので大変だと感じました。

たとえば、もともとは国語の時間だったのですが、直前に時間割が変更になって、算数になったことを伝えると、『なんで!やだ!僕もう国語だったから!』と言う子もいます。急な予定の変更に対応しきれないのですね」

生徒に接する中で学び続ける

そうした生徒たちに触れるなかで、山田先生は答えやすい質問をするようになりました。

「質問の仕方を限定的にするようにしました。たとえば、自分の子どもに対しては『今日学校どうだった?』『外国語何した?』と聞くと、子どもには意味が伝わっていません。『どうってなに?』『何したって?』と聞かれるのです。

でも、『楽しかった?』『お友達と喋った?』と聞くと、『楽しかった!』『喋った!』と言ってくれるのです。『楽しかった?』と聞いた後も重要で、『どう答えたらいいんだろう?』と考えているときに『休み時間何したの?』といった補足はしないようにしています。

子どもは聞き流せず『次の質問が来た!』と、すべてを言葉通りにやらなきゃならないと思ってパニックになるのですね。言葉で気持ちを表現するのは難しいのですが、その子に合った対応の仕方を模索していくのが大事だと思います」

今でも自身の子どもと、生徒に接する中で学び続け、試行錯誤を続けている山田先生。多くの保護者の方が悩み、心配する発達障がいがある子どもの将来も、その子の特性に向き合って受け入れていくことが大事なのだと考えさせられました。

濱井 正吾:教育系ライター

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください