クマを愛するYouTuberがクマに襲われ危機一髪 クマとの遭遇予防策は? "おにぎりグマ"とは?
東洋経済オンライン / 2024年8月2日 8時0分
そんなクマを愛する佐藤さんは長年、岩泉の山林を歩く中で2度、至近距離でクマに出合ったことがある。その時はいずれもクマが去っていったため被害には遭わなかったが、「いつかは襲われるかもしれない」という覚悟は常に持ち、いざという場合に備えていたという。
キノコ採りで遭遇 執拗に襲い掛かるクマ
「いざ」が現実となったのは2023年9月末。マツタケよりも美味しいと言われる天然マイタケを採りに行った時のことだった。
笹薮が揺れる音に気づいた佐藤さん。自分のイヌだと思い「おーい」と呼びかけたところ、別の場所からも「ガサガサ」という音が。咄嗟に「クマだ!」と思った瞬間、子グマはすばやく木に登り、8mほど離れたところにいた母グマが佐藤さんに向かって猛突進してきた。
母グマが執拗に襲い掛かる様子、木の棒で応戦する佐藤さんの鬼気迫る声や足に食い込んだクマの爪跡まで、一部始終をカメラが記録していた。
<普段は熊を愛し、その生態を勉強している者の一人として、この動画をみなさんに共有したいと思います。今回の件では熊は何も悪くありませんし、ここまで近づけてしまった私のミスですが、うっかり熊と接近してしまい被害に遭われる方が減るようにと祈っています>
このメッセージともに衝撃の映像をYouTubeに上げると、「クマがここまで怖ろしいとは」「自然を舐めてはいけないと思った」など多くのコメントが付いた。
俗説では「危害を加えなければ襲ってこない」とか「子連れの母グマは危険」などと言われるツキノワグマ。佐藤さんを襲った母グマは佐藤さんに気づくや否や、子グマを木に上らせ、突進してきた。母性本能が強い子連れのクマの恐ろしさを動画は物語っている。
クマの肉食化と"おにぎりグマ"の増加
自身の被害については「私のミス」だと振り返る佐藤さんだが、一方で、近年、北東北で多発するクマによる人身被害については「クマの性質が変わってきているのではないか」と言う。
指摘するのは、クマの肉食化、そして佐藤さんが「おにぎりグマ」と呼ぶ人に慣れ人を怖がらないクマの増加だ。
これまでは人里近くに現れたクマを捕獲する罠にはちみつを仕掛けるのが一般的だったが、「最近は猟師の間で『はちみつよりもシカの肉を仕掛けたほうがクマが入る』と言われているんです」。
山中で罠に掛かり弱ったシカがクマに襲われ、その肉が食い荒らされたり、牧場で子牛がクマに襲われたとみられる被害も発生しているという。
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