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精神科医が解説「幸せを感じている60代」の共通点 悪い記憶から生じる感情をどう断ち切るべきか

東洋経済オンライン / 2024年8月2日 11時0分

自身の役割や立場、環境に大きな変化が訪れる60代。自分に対して客観的視点をもち、嫌なことは忘れることのできる自分をつくっていきましょう(撮影:今井康一)

あの孔子によれば「六十にして耳順がう」。そんな“精神的な安定期”に入る年代に、実はうつ病というかたちでメンタル不安になる人が少なくありません。厚生労働省の調査(2017年)によると、気分障害患者の31.7%は65歳以上です。

自身の役割や立場、環境に大きな変化が訪れる60代。人生後半への入り口で陥りやすい「負の思考」をどう乗り越えればいいのか。本稿では、精神科医として多くのシニア世代と向き合ってきた保坂隆氏が「悪い感情のたち切り方」を解説します。

記憶力がいい人が素晴らしいわけではない

今の世の中、忘れることが悪いことのように思う風潮があります。忘れっぽい自分を「私は認知症になっていくのではないか」と不安になる人も多いようです。しかし、加齢による物忘れは当たり前のことです。いざとなればスマホで調べたり、人に聞けたりできれば十分だと思います。

認知症になるかならないかで悩むより、私たちには自分の生をきちんと生ききるという使命があります。そのことをしっかり考えてほしいのです。

記憶力がいい人が素晴らしいかといえば、そうでもないことが多くあります。やっかいなのは、昔のこまごまとしたことを覚えていることです。人間は、忘れてもいいようなことを脳にため込んでいます。ふだんは忘れているのに、記憶を想起する出来事やモノに触発されて思い出し、心を乱されます。

私たちは多かれ少なかれ、自分の過去にとらわれています。嫌な記憶ばかりでなく、成功体験の記憶があなたの足を引っ張る場合もあります。成功体験にとらわれて、新しい方法にチャレンジできなかったり、プライドばかり高くて人との付き合いがうまくいかなかったりします。

いい記憶も悪い記憶もあなたの人生であり、大事なものではありますが、とらわれていては前に進めません。自分の記憶や嫌な感情に縛られている自分に気づいてみませんか。もうそろそろ、その記憶は捨てたほうがいいのでは?

過去のことを何度も引っ張り出しては、「あのときはああした、こうした」と言うのは、まわりの人をうんざりさせるものです。何度も思い出すのは楽しい思い出だけにしましょう。

「家のなかを断捨離したい」という中高年が多くいます。家のなかに使わないものがあふれているのと同じく、脳にも不要なものがたまっています。脳細胞は年々減っているのに、いらない記憶に縛られていると、新しいものが入ってこなくなるとイメージしてください。

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