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TGV施設破壊で混乱、パリ五輪の「鉄道輸送」事情 地下鉄は運賃2倍に、市民はどうしている?

東洋経済オンライン / 2024年8月2日 7時30分

五輪期間中の運賃値上げプランは2023年12月1日に発表された。この際は「パリを訪れる観戦客からぼったくるのか」といった批判が渦巻いたが、交通当局は片道乗車券の値上げと抱き合わせで、観戦客の便宜のために、首都圏域内の交通機関に自由に乗れる「パリ2024パス」を導入した。

このパスを使えば、競技会場をはじめ、パブリックビューイングが行われるファンゾーンのほか、郊外にあるシャルル・ド・ゴール、オルリーの両国際空港、ベルサイユ宮殿やユーロディズニーへも行ける。通常、この範囲をカバーするチケットは1日29.25ユーロだが、「パリ2024パス」だと16ユーロ、7日用は70ユーロだ。運賃を倍額にすることで「乗車の度に毎回切符を買う人々の行列」の発生を防ぎたい意向が見える。

市民の利用にも配慮はしている。月間および年間パスは値上げ対象外で、交通ICカード「ナビゴー(Navigo)」に定期券利用分のチャージを行っている市民は、大会期間中も引き続き利用可能だ。

また、パリでは伝統的に10枚綴りの乗車券「カルネ(Carnet)」が販売されており、現在ではナビゴーに読み込ませて利用する形になっているが、こちらも値上げ期間前までに最大3セット(30枚)分の購入が可能という措置が設けられた。値上げ前に購入したカルネは大会期間中にも利用できる。

ただ、運賃値上げについて市民への配慮はあるものの、交通規制や駅の閉鎖などで生活への支障は避けられない。

パリ市内中心部では、五輪開催のため大規模な交通規制が敷かれている。とくに広い範囲で通行禁止となっているのは、コンコルド広場周辺だ。ここでは自転車BMX、スケートボードなどの競技が行われている。広場だけでなく周りを走る一般道路までを取り込んで競技会場や観覧席を設置した。目抜き通り「シャンゼリゼ」も競技実施の都合で、南東側の一部は全面通行禁止となった。

コンコルド広場周辺は道路だけでなく、直下のメトロ駅が臨時閉鎖され、乗り換えもできなくなっているほか、周辺の駅も併せて閉鎖されている。メトロ駅閉鎖や周辺道路規制の措置は、開会式の式典会場として使われたエッフェル塔に近いトロカデロ周辺でも同様の措置が行われている。

エッフェル塔に程近いエリアに住む知人は、「テロ事件が起こるとしたら、この辺かもしれない」と真顔で話し、「道路は規制、地下鉄駅は閉鎖。生活するのに支障もあるので、さっさとバカンスに行く。隣人も皆そんな感じ」と言い、7月上旬にはすでにパリを後にしている。

鉄道網混乱は早期復旧

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