「含み益が吹き飛んだ」日銀利上げ砲0.25%の衝撃 わずかな利上げで「1ドル150円割り込み」のなぜ
東洋経済オンライン / 2024年8月2日 9時0分
経済の教養が学べる小説『きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』著者である田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会を作ることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」
今回は、7月31日に行われた日銀による金利引き上げが為替相場を大きく動かした理由と、その影響を解説してもらう。
「物価高が収まる」「含み益が消えた」さまざまな反応
7月31日、日本銀行が政策金利を0.25%に引き上げることを決め、外国為替市場では一時1ドル150円を割り込んだ。
【写真】経済教養小説『きみのお金は誰のため』には、「勉強になった!」「ラストで泣いた」など、多くの読者の声が寄せられている。
1カ月前まで160円を軽く超えて推移していたドル円相場がここまで動くとは、誰が予想しただろうか。
この急速な円高にSNS上の反応はさまざま。物価高が収まるとの声がある一方、「NISAで積み上げた含み益が消えてしまった」という投稿も目立った。
消費者からも投資家からも、ドル円への注目は高まっている。
食料やエネルギーなどの大部分を外国からの輸入に頼る日本では、近年の円安が大幅な物価高をもたらしており、消費者の財布を直撃している。
また、今年から始まった新NISA枠を利用して「オルカン」などの外貨投資をはじめる人も増えている。1月時点では141円だったドルは、半年で161円まで上がり続けたので、1月から外貨投資を始めた人にとっては、居心地のいい相場だった。ところが、150円を割り込んだことで、投資を始めたタイミングによっては、含み益がすべて吹き飛んだ人もいる。
今回、これだけ大きく為替が動いているのは、0.25%への利上げだけではなく、その裏側にある政府や日銀の円安退治への強い姿勢がうかがえたからだろう。
金利が為替レートに影響を与えるしくみ
ご存じの方は読み飛ばしてもらってかまわないが、金利は為替レートと密接な関係がある。簡単な例で説明するために、日本の金利を0%、アメリカの金利を5%とし、1ドルが160円とする。
いま、あなたは160万円を持っている。それをドルで保有するか、円で保有するか。ドルを選んだ場合、160万円は1万ドルに交換されて、1年後には利息込みで1.05万ドルになる。一方で、円は160万円のまま。
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