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義務教育段階で制服を着ないのはアリなのか? 生徒主導の「校則見直し」西武文理の場合ー後編

東洋経済オンライン / 2024年8月4日 9時30分

橋本 翌年度から服装も髪型も自由だと、昨年度末に聞いたときには、びっくりしました。最初は、学校の秩序が乱されるんじゃないかという不安が大きかったです。

おおた 多くの生徒にとっては寝耳に水だったんですね。

橋本 逆におおたさんに聞きたいです。義務教育の範囲外なら制服を着ない学校があってもいいと思いますが、義務教育の範囲内の中学校で、制服を着ないという選択肢はあるのでしょうか? 義務教育って何だろうという話を親ともしてまして。

おおた この社会で生きていくのに最低限知っておいたほうがいい普遍的なことを大人が子どもに教える義務を果たすのが義務教育なんだと思いますけれど、その普遍的なことに、制服は含まれていないんじゃないかと私は思います。でも橋本さんのご家庭では、制服を着ることも義務教育に含まれるという意見なわけですね。

橋本 会社もスーツじゃないですか。それを学ぶための中学校の制服かなと思っています。社会に出たときに正装をしなくちゃいけない。それを学ぶ機会が義務教育からなくなるのはどうなのかなと思います。

おおた 社会に出れば、正装をしなくちゃいけない場面もありますし、制服を着なければいけない職場もあります。必要なときに必要なものを着られるようになるために、毎日学校で制服を着る必要があるかどうかですよね。

女子が私服通学するリスクとは?

山中 私は髪を染めたいとは思わないし、いまでも制服を着ています。校則がなくなった直後に、私、1回見たんですよ。私服を着て登校した生徒が、スクールバスの乗車を断られたんです。校則がなくなったことを運転手さんが知らなくて。説明して、結局は乗せてもらえていましたけど。

ペドロ でもその生徒はいい学びをしたと思います。そのときは驚いただろうけれど、そういう葛藤を経験することも大切です。

山中 私服で学校に来た生徒が、夜遅い時間の帰宅途中でナンパというか勧誘みたいな声をかけられたという話も聞きました。

おおた なぜ私服だと声をかけられるのですか?

山中 制服なら高校生で未成年なんだとわかりますが、私服だと、ただ若い女の子が歩いているように見えるからだと思います。

おおた 私服通学にはそういうリスクもあるんですね。逆にいえば、そういうリスクに気づくことも学びではありますね。

衣服の乱れは心の乱れではなく教育の乱れ

校則を自由化すると学校が荒れるんじゃないかという意見が生徒の口からあがったことが興味深かった。しかしこれまでの私の取材経験をもとに言わせてもらえば、それは杞憂である。

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