アップルが「折りたたみ」をやらざるをえない理由 海外では折りたたみ時で1センチ未満のスマホも
東洋経済オンライン / 2024年8月4日 8時0分
折りたたみの新モデルが続々登場
それでは折りたたみスマートフォンはグローバル市場でどれくらい売れているのか。調査会社IDCによると、2023年の折りたたみスマートフォンの出荷台数は1810万台だった。一方、スマートフォン全体の出荷台数は11億6690万台。折りたたみスマートフォンの割合は全体の2%にも満たない。同社によると2024年の予測台数は2500万台、2028年でも4570万台であり、全出荷台数が変わらないとした場合でも約4%にとどまる。
それにも関わらずスマートフォン大手各社は折りたたみスマートフォンの新規開発にしのぎを削っている。その理由はスマートフォンの次の進化モデルとして折りたたみスマートフォンに期待を寄せているからだ。
スマートフォンの本体性能は現状のアプリケーションやサービスを使う限り、ほぼ満足できる領域に到達した。今や5万円程度のスマートフォンでも十分なカメラ性能を搭載している。また、英国のベンチャー企業、Nothing(ナッシング)のように、性能よりもデザインやユーザーインターフェースに特徴を持たせた新しい概念の製品も登場した。スマートフォンメーカーにとっては高性能をうたう高価格な製品が売りにくくなっているのだ。また、他社との差別化も難しくなりつつある。
しかも先進国のみならず中国でもスマートフォン需要は一巡しており、スマートフォンを売るためには買い替え需要に頼らなくてはならない。そのような中で現れた折りたたみスマートフォンは、次世代のスマートフォンとして目新しさを消費者に訴えることが可能であり、さらに比較的高価格で販売できる。
アップルがやらざるをえない理由
例えばサムスンの高性能カメラモデルであるGalaxy S24 Ultraは18万9700円だが、折りたたみモデルのGalaxy Z Fold6は24万9800円だ。また、縦折り型のコンパクトな折りたたみモデル、Galaxy Z Flip6は15万9000円、それに対してストレート型の一般的なスマートフォンであるGalaxy S24は12万4700円となっている。単純に比較はできないものの、折りたたみモデルは一般的なストレート形状のモデルよりも高価格だ。それでも一定数売れており、年々販売台数を伸ばしている。
「カメラが良い」「本体性能が高い」スマートフォンは、すでに各スマートフォンメーカーがフラッグシップモデルとして投入している。しかし、その製品を最高価格で売るのはもはや難しい。そこで折りたたみスマートフォンを高価格なプレミアムモデルとしてメーカーの「顔」とし、利益を稼ぐとともに消費者に先進性のあるメーカーというイメージを植え付けるわけだ。
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