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「500万円の借金」抱えた男が結婚するまでの軌跡 若い頃は「結婚できなかった2人」の最強の相性

東洋経済オンライン / 2024年8月4日 12時30分

「アキちゃんが『じゃあ、彼に会ってみない?』とまた声をかけてくれたんです。主人に会ってみたら、穏やかで優しそうな人で……。すぐに付き合い始めました」

真一さんも弘子さんを見て「可愛い」と思ったと明かす。20代のときに恋人を大事にできなかったことに悔いがあり、今度付き合った女性にはとにかく優しくしようと決めていた。結婚まで2年間もかかったのは借金が残っていたからだ。

「付き合う前に借金があることを話してくれたので誠実な人だなと思いました」

と言う弘子さんのほうは病気について明かした。薬の影響もあるので子どもは望めないことも。真一さんが「付き合ってください」と言ってくれたタイミングだった。

婚活をしている男女から、「病気や借金、親の介護などのネガティブな条件をいつ切り出すか」について相談されることは少なくない。お見合いや仮交際の時点では話す必要がないと筆者は思っている。好きでもない相手の弱点は許容しにくいからだ。ただし、婚約してからの告白ではだまされたような気持ちになりかねない。真一さんと弘子さんのように、付き合い(婚活用語では真剣交際)を始める直前がベストタイミングだと思う。

真一さんは借金を完済したらすぐに婚約指輪を買ってプロポーズすることを決めていた。その思惑を弘子さんに伝えることはしなかったが、弘子さんのほうは「全面的に信頼しているアキちゃんが紹介してくれた人だから、信じてひたすら待っていました」と淡々と述べる。

「指輪をもらったときは嬉しかったです。ビックリして言葉を失ってしまいましたけど……」

毎日の幸せを手に入れた

結婚後、それぞれに「人生で今が一番幸せ」と感じているようだ。一人暮らしが長かった真一さんは仕事から夜遅くに帰って来ても弘子さんが電灯をつけて待ってくれていることが嬉しい。

「店が忙しい時期は夜中の12時頃になることもあります。それでも起きていて『おかえり』と言ってくれて、軽い食事を出してくれます。僕は毎日何百食も作っているので、自分の料理はできるだけ食べたくありません(笑)。妻の料理は何でも美味しいですよ」

子どもがいない分だけ弘子さんに愛情を注いでいるという真一さん。弘子さんもそれを実感している。

「どんな些細なことでも私の意見を優先してくれています」

共通の趣味はゲーム。テレビゲームに興じることもあれば、2人でゲームセンターに出かけてクレーンゲームでお菓子を狙ったりもしている。

若い頃には強迫観念に近い夢や目標を持っていたりするものだ。真一さんの場合は「自分の店を構える」、弘子さんは「自活する」だった。しかし、そんな目標達成よりも大事なのは周囲の人と支え合って毎日を幸せに過ごすことではないだろうか。

真一さんは経営者から頼りにされる店長として精を出し、弘子さんは専業主婦として家庭を明るくしている。真一さんと弘子さんの縁をつないでくれた「アキちゃん」夫婦も目を細めていることだろう。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。

大宮 冬洋:ライター

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