トランプ政権なら円相場や日本株はどうなるのか 移民の抑制でアメリカは「インフレ再燃」も
東洋経済オンライン / 2024年8月4日 10時30分
アメリカの大統領選はジョー・バイデン候補が辞退し、カラマ・ハリス副大統領にバトンを渡すという、数カ月前にはほとんど誰も想定していなかった状態にある。
もっとも、賭けサイトのオッズなどから判断すると、民主党の勝利確率は小幅に高まってはいるものの、ドナルド・トランプ氏(共和党)の優勢に大きな変化はないようだ。そこで今回の記事では、いわゆるトランプ相場について、日本株および為替市場に与える影響を考えてみたい。
トランプ氏の円安進行への不満ポーズの背景にあるもの
日本経済全体への影響は別として、急激な円高は「大企業製造業の塊」とも言うべき日経平均株価にとって、株価の下押し要因である。その点、ブルームバーグ通信が報じた、6月下旬実施のトランプ氏に対するインタビューは、一見すると不気味であった。
インタビュー内でトランプ氏は「対ドルでの円安や人民元安が甚だしい」「(アメリカの輸出企業にとって)すさまじい負担」としたほか、「(日本に対して)不作法だ」と言及した。こうした趣旨の発言は前政権期から引き継いでいるもので今回が初めてではないが、歴史的な円安が進む中、アメリカ内の製造業を意識してそのように発言したとみられる。
もっとも、ドル安はインフレ再加速という結果を招きかねないため、現状のアメリカ経済に対して好ましいとは思えない。トランプ氏が「輸入品に対する10%の関税」を画策していることに鑑みればなおさらであろう。トランプ氏はインフレが政治的に受けの悪い事象であることを理解しており、だからこそインフレの責任をバイデン政権に押し付けることで、これまで民主党から浮動票を手繰り寄せることに成功している。
そう考えると、トランプ氏が真にドル安を望んでいるかは微妙である。今回の発言はあくくまで為替を「政治利用」したと考えるのが妥当ではないか。トランプ氏はドル安志向が強いと言われているが、必ずしもそうとは限らないだろう。
なお、筆者がアメリカ出張で面談したアメリカのエコノミストは「為替?いや株価がすべてですよ」と言っていた。日本人は1985年のプラザ合意など歴史的経緯もあって為替に敏感だが、アメリカ側からみればさほど重要な問題ではないのかもしれない。
7月中旬から8月にかけて半導体関連銘柄が世界的に調整する場面があった。指数の構成において半導体製造装置銘柄の存在感が大きい日経平均株価は、あっさり4万円の大台を大きく割りこんでしまった。半導体関連銘柄の急落のきっかけとなったのは、バイデン政権が半導体製造装置の対中輸出規制を同盟国に対して強化するとの報道だった。
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