日本株の「長期上昇インフレ相場」は終わらない 次に来るのは「急落後の反発」か「弱気相場」か
東洋経済オンライン / 2024年8月5日 10時30分
次の高値は2024年3月22日の4万0888円だ。その後、4月19日の3万7068円への押し目を作ったが、この間の下げ率も9.3%と、2023年の下落率とほぼ同じだった。
今回は7月11日の史上最高値4万2224円をつけてから、2023年以降3回目の調整となったが、上記の過去2回と違う点は、8月2日の終値3万5909円は上記の最高値からの下落率が14.9%となり、下落率で上回ったことと、過去2回にはなかった直前の調整局面の安値を下回ったことだ。
もちろん、「過去2回の調整局面より谷が深いということは山(反発)も高くなるはず」と前向きに考えることもできる。ただ、高値での出来高が多く、信用の買い残も歴史的な高水準だったことを考えると、高値でのしこりも大きく、今後反発したときの抵抗は強いと考えるべきだ。
それでも、最近は先進各国とも政権維持のためにあらゆる経済対策を講じることもあり、近年は経済と株価が長期間にわたり下がり続けることはない。上述のように、もしウォール街の見方を当てはめれば、もし高値から20%下落すれば、伝統的には弱気相場の入り口になる。だが、近年はそうではなくて、底値(買い場)になる例のほうが多い。
そこで、あらためて今回の日経平均の下げの原因と現況を見てみよう。まず、下げのいちばんの原因は、1ドル=161円台後半から一気に146円台まで進んだ円高だ。これで円安による日本企業の業績上方修正期待が一気に剥落した。
ただ、反対側から見れば、年内のアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の利下げと、日本銀行の利上げを複数回分急速に織り込んだ結果であり、今後のドル円相場は1ドル=145円前後に落ち着くと推測される。よって、企業業績の上方修正が下方修正にまで変わることまでは考えられない。事実、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)は8月2日現在で2410円と、史上最高を更新している。
2番目の理由は、「景気のソフトランディング期待が固まらないアメリカの景気」だ。だが、民主党の大統領選挙候補者に決まったカマラ・ハリス副大統領の人気が予想外に上昇、一時は返り咲き確実と見られていた共和党のドナルド・トランプ候補との差は縮まっている。こうした中で、両候補にとって「景気減速」は許されることではない。どちらの候補が当選しても、景気は維持されるだろう。
3番目は、アメリカのテック株のさらなる下落がナスダックを弱気相場へと落とし込む恐怖だ。だが前述のように、史上最高値からの下落率は10.0%で、すでにテック株は十分な調整をしている現在、さらに大きく下げるとは思えない。人気が先行した反動安であって、AI半導体が今後の経済に不必要になったためではない。
今後の抵抗力は強そうだが日経平均は短期的に下げすぎ
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