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幹線が分断「根室本線」部分廃止は違和感だらけ 2016年の運休からJR北海道は復旧せず放置

東洋経済オンライン / 2024年8月6日 7時30分

この日、福岡県北九州市から根室本線のラストランに参加した50代自営業の男性は、根室本線の部分廃止の印象について「鉄道ネットワークが分断されることにより石勝線で災害が発生した場合の迂回路が確保できなくなってしまった。ドライバー不足の中で万が一の際に、北海道東部の農産品などの出荷に影響することから食料安全保障の面」、昨今、防衛省も自衛隊の輸送力向上のために鉄道貨物のさらなる活用を求めていることから「国防の面でも心配だ」と話してくれた。

JR北海道は復旧せず放置

今回、廃止となった根室本線富良野―新得間のうち、東鹿越―新得間が台風以外によって不通となったのは2016年8月のこと。被害が集中したのは落合駅と石勝線との合流部である上落合信号所までの約4kmの区間で、土砂流入や道床流出などの被害が相次いだ。復旧費用は約10億円とされたが、JR北海道は復旧せず放置し、東鹿越―新得間では列車代行バスによる輸送が続けられることとなった。

この金額については、2022年10月に新潟・福島豪雨の災害から11年ぶりに災害復旧した只見線の約90億円や、豪雨災害からの鉄道としての復旧を決めた肥薩線の約235億円と比較しても明らかに少額であることから、復旧せず放置していることを腑に落ちないと感じている人も多いようだ。

JR北海道はその3カ月後の2016年11月に「当社単独では維持することが困難な線区」11線区を発表。このうち輸送密度200人未満は赤線区、輸送密度200人以上2000人未満は黄色線区とされ、その後、赤線区の廃止が進められることになる。JR北海道には、すでにこの時点で、同区間の復旧を行う意思はなく富良野―東鹿越間については、なし崩し的に鉄道廃止に持ち込まれたといっても過言ではない。なお、富良野―新得間の台風災害前の輸送密度は152人であったが、東鹿越―新得間が代行バスによる運行となった2016年度には106人と一気に3分の2に利用者を落とし、末期となる2023年には53人となっていた。

さらに、北海道庁も鉄道復旧には前向きとはいえない。2023年3月21日付記事(北海道新幹線「並行在来線」代替バス案の理不尽)でも記しているが、全国の赤字ローカル線を激甚災害から救おうと鉄道の災害復旧を行うにあたっての鉄道会社に対する補助率を引き上げるべく鉄道軌道整備法を改正しようとした際に、道の担当部長が衆議院議員会館に乗り込んでクレームを付けている。

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