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日本の現場を殺した「3つの過剰」という根本問題 組織を強くする「本当に必要な管理」とは?

東洋経済オンライン / 2024年8月7日 12時0分


現場があえて不正や不適切なことに手を染めてしまうのは、目の前にこなさなければならない業務が山積みなのに、それを処理する能力が著しく不足しているからである。

もちろん、だからといって不正や不適切なことは許されない。業務が適切にこなせないのであれば、そうした声を上層部に上げ、善処してもらうのが筋である。

しかし、上から強烈なプレッシャーを受ければ、現場は声を上げられなくなる。

現場の管理者は「できない」とは言えなくなってしまい、「なんとかします」と答えてしまう。負荷と能力に閾値を超える差異が生じれば、当然、通常の対応ではこなせなくなってしまう。

そして何か問題が起きると、再発防止のために「新たな規則やルール」がつくられる。そして、現場はそれを守ることを要求される。

いったん規則やルールをつくれば、それらは固定化し、守るべきものがどんどん積み上がっていく。規則やルールが自動的になくなることはない。

言うまでもなく、現場に管理は必要である。管理軽視は現場を崩壊させる。

しかし、現場の状況もよく把握していない本社・本部が策定した的外れな規則やルールを現場に押し付け、縛るのが内部統制ではない。

経営者や本社スタッフは、現場にかかる業務負担とそれをこなす組織能力に乖離がないか、その事実を見るべきなのだ。現場力に大きな乖離がなければ、問題は起きない。

「目で見る管理」が現場を成長させる

現場管理の基本は「目で見る管理」である。

本社や本部は新たな規則やルールを「つくる」ことには熱心だが、それらを「変える」や「なくす」ことには関心がない。現場の状況や時代にそぐわない規則やルールは、定期的に「断捨離」するべきだ。

そして本社・本部は、規則やルールで「現場を縛る」のでもなく、「自らの目」で見る管理を心掛けなければならない。

現場に「過度な負担」がかかっていると認識すれば、その理由を解明しながら、組織としての訓練、努力を粘り強く積み重ねていくことになる。

現場は、最初はできなかったことでも、努力、経験、知恵を積み重ねる。それによって現場力は間違いなく一段ずつ高まっていく。

つまり、現場力を重視するのであれば、管理の基本は「自主管理」でなくてはならないのだ。

本社・本部がマイクロマネジメントをするのではなく、現場自らが自分たちで自分たちをコントロールする。

その「自主・自発・自律」こそが現場管理の基本であり、内部統制の本質なのだ。

規則やルールはミニマムにする。そして、「自主管理」できる現場を育てる。

それこそが「真の現場管理」である。

現場力はいきなり消えてなくなったわけではない。この20年の間に経営の無為無策により徐々にやせ細り、消滅させられたのである。

「3つの過剰」を是正できなければ、管理強化のツケが回ってくるのだ。

遠藤 功:シナ・コーポレーション代表取締役

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