日産、ホンダ陣営が「資本提携」に発展する可能性 EV連合に三菱自も合流「問われるスピード感」
東洋経済オンライン / 2024年8月7日 8時0分
残り4つの領域についてはまだ構想を並べただけの覚書の段階だ。比較的早期に効果を期待できそうな車両の相互補完でさえ、「どの車種をいつからという話は現時点でまだ決まっていない」(日産関係者)。
提携そのものの行方も不安要素が尽きない。
記者会見では両社のエンジニア2人がマイクを握り、「文化が違うというのは事実。だが、危機感の上においてそれは関係ない」と現場レベルでの協力姿勢をアピールした。だが、ある日産幹部は「まずは協業できる範囲を出した段階。開発については独自性もあるので、中身の議論がどうなるかはまだわからない」と本音を吐露する。
ホンダ内部から「うちがあげるばかりで、日産が何かくれるものはあるのか」といった声も聞こえる。ホンダ系部品メーカー幹部は「部品の共通化などは何も聞いていない。『総論賛成、各論反対』にならなければいいが」と懸念を示した。
日産の弱さがアキレス腱に
長年両社をウォッチしてきたアナリストは「現在の日産とホンダの力関係は対等ではなく、投資余力にも差がある」と指摘する。
とりわけ、提携のアキレス腱となりそうなのは日産の弱さだ。
カルロス・ゴーン氏の逮捕や経営統合を要求した筆頭株主であるフランス・ルノーとの争いで経営は混乱。販売台数は直近のピークである2017年度の577万台から2023年度に344万台まで4割も減少した。
足元の稼ぐ力にも大きな不安が出てきている。アメリカでの過大な販売計画がたたりインセンティブ(販売奨励金)が膨張。提携会見の1週間前に公表した日産の2024年4~6月期決算はわずか10億円の営業利益(前年同期比99%減)に沈んだ(関連記事、日産「99%減益」の真因、米国事業に2つの構造課題)。
時価総額でみれば、ホンダの7.6兆円に対して日産は1.6兆円と大きな開きがある。
ルノーとの関係をめぐり、潜在的な資金流出要因もある。
昨年11月に日産はルノーとの資本関係の見直しを行い、ルノーの日産に対する出資比率を43%から15%に引き下げ「対等な関係」となった。日産はその後、フランスの信託会社に移された28%分の自己株取得を続けており、これまで合計で約7.5%分をおよそ1800億円で取得している。残る20%強を取得しようとすればさらなるキャッシュアウトは避けられない。
日産はまた、ルノーが設立したEV会社「アンペア」に最大6億ユーロ(約930億円)を出資する契約を締結済み。当の日産関係者からも「それでなくても金がないのに、ホンダと対等の投資ができるわけがない」との声が上がる。
三菱自株を資金化か
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