錦織圭も驚愕「5大会連続メダル」国枝慎吾の凄み 憧れはフェデラー、似てるのはジョコビッチ
東洋経済オンライン / 2024年8月8日 15時0分
グランドスラム車いす部門で、男子世界歴代最多優勝を達成し、「車いすテニス界のレジェンド」と称される国枝慎吾さん。初の自著『国枝慎吾 マイ・ワースト・ゲーム』には錦織圭選手を含め、トップアスリートたちと国枝さんの対談を収録している。一流選手だからわかる国枝さんのすごみとは? 本書から一部抜粋・編集して紹介する。
肌身で感じてきた「常勝」の重圧
「常勝」の重圧を肌身で感じてきたビッグネームとは、共鳴し合う点が多い。
【写真】2023年に世界ランキング1位のまま引退した国枝慎吾さん
ここで、テニス界の同志である錦織圭に登場してもらおう。改まって対談するまでもない、テレビゲーム仲間であり、共にユニクロ所属の「グローバルブランドアンバサダー」として、イベントで一緒になる機会も多い。
テニスの4大大会は健常者の部の大会後半、車いすテニス部門が同じ会場で開かれる。敗者は荷物をまとめ、早々に帰路につく。観光を楽しむ気分になんてなれないし、次の戦いの地へと旅立つ。
2014年ごろから、錦織がベスト8に勝ち上がる頻度が増えたことで、次第に国枝と顔をあわす機会が増えていった。2014年の全米オープンは、錦織にとって忘れられない記憶だ。アジア人として4大大会の男子シングルスで初の決勝進出を果たした大会だ。
その快挙から2年後、国枝について聞いた。
印象深いシーンとして錦織が挙げたのが、やはり、2014年の全米オープンだった。
「勝ち進むにつれ、広いトレーニングジムで汗を流す選手がどんどん減っていったんです。とくに最後の3日間ぐらいは、大会序盤はあんなに人がいたのに、僕と国枝さんしかいない場面が何回かあって。なんか日本人2人ですごいなあ、と我ながら思っていましたね。国枝さんが、『試合すごかったね』と声をかけてくれたのを覚えています」
この年、全米オープンのシングルス、ダブルスの2冠に輝いた国枝の記憶はもっと鮮明だった。
錦織が世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破った準決勝をジム内にあるテレビで見ていた。
「帰ってきた錦織くんを待ち受け、イエーイ!とハイタッチで祝福しました」
先に世界の頂点に立ったのは国枝だ。初めて世界ランキング1位になったのは、2006年秋だった。
2007年、国枝は当時の「車いすの4大大会」と称されていたオーストラリア、フランス、日本、アメリカでの主要大会をすべて制した。「年間グランドスラム」の完成だ。ちょうど、錦織がプロに転向したのが、この年になる。
「日本にはクニエダがいるじゃないか」
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