1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

錦織圭も驚愕「5大会連続メダル」国枝慎吾の凄み 憧れはフェデラー、似てるのはジョコビッチ

東洋経済オンライン / 2024年8月8日 15時0分

一方、国枝が錦織を語るときの目線は、どこかファンのまなざしが交じる。

「錦織くんのプレーには遊び心がある。とにかく堅実のジョコビッチとかと違う。日本人だからというのと関係なく、そのスタイルが好きです」

錦織のプレーを見て、国枝は自分の戦術に採り入れていた。

「僕もフォアの回り込みは多いので、その辺は、錦織くんのプレーが参考になる。彼は連続してフォアで回り込んで打つじゃないですか」

自分のバック側に相手の返球が来るのを予測し、回り込んでフォアで強打を打ち込むテクニックだ。ストレート、もしくは逆クロスへ。相手が動く方向の逆を取れば確実にポイントになる。

国枝は話を続けた。

「僕もストローク戦を支配しているときは、けっこうやる。攻め方としては似ている部分だと思う」

勇気と自信をもらった試合

2022年のウィンブルドンのとき、ふだん健常者のテニスをどれくらい参考にしているか、国枝に聞いた。

――国枝選手はフェデラーが好きですけど、今大会、ジョコビッチが2セットダウンからシナーに大逆転勝ちするなど勝負強さを発揮している。トップ選手の試合をけっこう参考にしているんですか?

「見ますね。やっぱり、勝つんだなあと思いますね。ジョコビッチも、ナダルも。もうボロボロな感じの状態からでも勝つのかあ、本当にすげえな、と思いながらいつも見ています」

――勝負強さに関しては、国枝さんも同じカテゴリーに入るのでは?

「同じカテゴリーなんて恐れ多くて言えないですけど、でも、ジョコビッチはなんかこう、僕が言うのもなんですけど、ちょっと参考になる部分はありますね」

深掘りしたら、興味深そうな流れだ。さらなる解説を頼んだ。

「人並み外れたパワーがあるわけでもないし、ものすごいビッグサーバーなわけでもない、という意味で似ている気がして。フォアハンドも、バックハンドもすごくうまいけれど、球の威力だけなら、もっとパワフルな選手はいる。車いすテニスで僕よりもっとパワーのある選手はいる。それでもジョコビッチは最強というところが勇気と自信をもらえるところです」

あこがれはフェデラーで、自分と重ねるのはジョコビッチ

――あこがれは、フェデラーだけど、自分と重ねるのはジョコビッチ、ということ?

「ビッグ3でいえば、フェデラーは繊細なタッチとか、天性のうまさという感じがするじゃないですか。ナダルは圧倒的なパワー、練習なんか見ていても、すごい。ボールをぶっつぶす感覚の豪打ですし」

――興味深い比較です。

「そうですか? それと、僕はチェアワークは負けない。ジョコビッチも足のフットワークはすごいじゃないですか。そこも似ている気がする」

――改めて確認すると、あこがれはロジャーで、重ねるのはジョコ、と。

「そうなんですよ。勇気をもらえるところは、ありますね」

一瞬、間を置いて、国枝が慌てて言った。

「ジョコビッチのファンにたたかれそうですね、こんなことを言ったら。大丈夫っすか?」

国枝は車いすテニスと健常者のテニスには、観客やテレビなどの注目度に厳然とした差があることをわかっている。だから、自分とジョコビッチを重ね合わせて話すことが、一部で反発を招くのでは、という危惧だった。

心配は無用だろう。国枝の言葉からは、ジョコビッチへの最大級のリスペクトがにじみ出る。

国枝 慎吾:元プロ車いすテニスプレーヤー

稲垣 康介:朝日新聞編集委員

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください