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「世界恐慌で事態悪化」日本が戦争に突入したワケ 無謀な戦争へと突き進んでしまった理由とは

東洋経済オンライン / 2024年8月8日 18時0分

(撮影:今井康一)

「戦争の原因を考えるとき、なぜ日本が第2次世界大戦に参戦したのかがわかりません。普通に考えれば負けることがわかりそうなのに……」と思う人がいるかもしれません。

「日本が参戦したのは経済事情が大きく関係しています」と述べるのは東大名誉教授で経済学者の井堀利宏氏。無謀な戦争へと日本が突き進んだ理由とはなんだったのか。2つの経済的視点から解説していただきました。

※本記事は、書籍『超速・経済学の授業』から一部抜粋・大幅加筆したものです。

日本がアメリカに戦争を仕掛けた経済的理由は?

日本が1941年に第2次世界大戦に参戦した理由は当時の経済情勢と、その背景にあった財政金融政策が影響しているといわれています。具体的には、1930年代の「金本位制」と呼ばれる財政金融政策と、その影響を受けた「昭和恐慌」が大きな原因です。

【画像でわかる】昭和恐慌が起こった背景

第2次世界大戦に参戦した経済的背景
・金本位制……金をお金の価値の基準とする制度
・昭和恐慌……1930~1932年にかけて日本を襲った深刻な不景気

金本位制とは、通貨の価値基準を金の価値に設定するという制度です。中央銀行の発行する通貨=紙幣と一定量の金とを等しい価値の関係にして、決められた固定レートで相互の交換が自由に行われることを保証します。

ただ、上記の説明ではわかりづらいかもしれませんので、お金がなかった古代の物々交換をイメージしてみましょう(下記の図参照)。

その時代、村Aでは貝殻を通貨として使い、村Bでは絹を通貨として使うなど通貨が統一されていませんでした。そのため、例えばお米1㎏を買うには村Aでは貝殻10枚と交換する必要があり、村Bで絹10もんめを必要としました。

同じモノを購入するにしても、村Aと村Bでは違うモノで交換していたわけです。これでは不便だということで誰もが認める共通の価値尺度として金を設定したのです。これが金本位制の始まりです。世界の遠い外国の場所でダイヤモンドを買っても、またシルクを買ってもみんなが認める金さえ持っていれば交換できるようにしたわけです。

ただし、金は重量があります。あらゆる経済取引のためにたくさんの金を持ち運ぶのは面倒です。その代わりに登場したのが貨幣(=紙幣)でした。金1㎏の価値がある貨幣X、金5㎏の価値がある貨幣Y、金10㎏の価値がある貨幣Zといった具合に貨幣の種類を作れば持ち運びも簡単です。 このようにして、貨幣が金の代わりとなったのが金本位制です。

金本位制の復活と想定外の事態が発生

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