ミスドはなぜ「なんか、ちょうどいい空間」なのか 値上げしても業績絶好調、背景の「空間の魅力」
東洋経済オンライン / 2024年8月8日 10時0分
「勉強するとき、いつも近所のミスドに行きますね。長居してもいいって感じなんですよ。コーヒーもおかわりできるし」
【画像7枚】「コーヒーにおかわり嬉しい」「麺類食べられるのがいい」…。業績が急回復中のミスド。「そう、そこがいいんだよね」と思ってしまう、空間的な魅力とは?
21歳の女子大生、Uさんはそう語る。
ドーナツチェーン「ミスタードーナツ」の業績が好調で、親会社であるダスキンの業績を牽引している。
ミスドの快進撃の原因はどこにあるのか。筆者はその一つを、「実店舗の、空間的な魅力」に求めたい。「場所」としての強みが、ミスドの業績を引き上げている。
度重なる値上げでも、好調な業績が続く
まず、ミスドの近年の業績を概観したい。
ダスキンの2024年3月期の決算によると、フードセグメントが約584.4億円で、前期の約488.8億円から19.6%の増加。本業である訪販セグメントが、前期比で0.9%の減少だったのと対照的な数字だ。セグメント利益も前期の約54.7億円から、約69.2億円に伸長している(※便宜上、四捨五入して記載)。
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特筆すべきは、その営業利益率の高さだ。2024年3月期では、11.7%にものぼっている。これは、日本マクドナルドホールディングスの営業利益率10.7%を超えている。外食産業としては、驚異的な高さだ。
また、ここ数年ミスドが度重なる値上げを実施しているのにもかかわらず、客足が落ちていないことにも注目したい。単に安いからミスドが選ばれているのではなく、「ミスドがいい」という理由で選ばれているのだ。
例えば看板メニューのひとつである「オールドファッション」は、2022年2月まで税込121円だったが、2024年7月現在では税込165円となっている。
人々を惹きつけるミスドの空間
では、そこまで人を惹きつけるミスドの魅力とは何か。
経済メディアでミスドが取り上げられる際、ミスドのドーナツの美味しさや、さまざまなブランドとのコラボレーションなどを通した新商品の目新しさが、好調の要因として挙げられている。また、テイクアウト比率の多いミスドにとって、コロナ禍で生まれた持ち帰り需要が追い風になったという指摘もある。これらの指摘は、たしかに事実だろう。
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