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ミスドはなぜ「なんか、ちょうどいい空間」なのか 値上げしても業績絶好調、背景の「空間の魅力」

東洋経済オンライン / 2024年8月8日 10時0分

一方で、筆者が利用者にインタビューしていると、多くの人がミスドの「空間としての魅力」を語ることに気がついた。

とくにコロナ禍以後、街に人流が戻り「リアルな空間の良さ」が見直されてきた側面がある。意外と、ミスド好調の背景には、そんな「場所としての魅力」があるのではないか。以下、そんなミスドの空間の魅力を2つに分けて解説したい。それが、

①カフェとレストランの中間のような「だらだらいられる空間」

②「ワクワク」感を演出する商品陳列

だ。

まずは、①である。ミスドはドーナツを食べられる場所だけでなく、「カフェ」のような使われ方もしている。特にSNSを見れば「ミスドでテスト勉強」とか「ミスドで仕事した」なんて投稿が目に入る。

ミスドがカフェ的に利用される背景には、そのサービスの影響が大きい。多くの店舗でコーヒーのおかわりが無料なのだ。ブレンドコーヒー(税込297円)を頼めば、それを何杯でも飲むことができる。

そのため、そこでコーヒーを買って長居をし、勉強や仕事をする人も多い。また、今や作業に欠かせないWi-Fiが付いているのもポイントが高い。

さらに、他のチェーンカフェに比べて、ミスドはテイクアウトの比率が高い。そのため、行列ができていたとしても、店内自体そのものが満席ということはそこまで多くない。勉強や作業をしたい人にとっては、穴場的な存在になっている。

こうした「長居客」は、店の利益にとっては望ましくないと思われるかもしれない。ただ、今見たように、多くの人がテイクアウトで活用する業態だからこそ、店舗に来る客へのサービスを行える側面もあるだろう。

「だらだらいられる」を可能にする食事メニューたち

ミスドの空間を特異なものにしているのは、これだけではない。カフェ的な側面だけでなく、レストラン的な要素も持っているからだ。しかも、そこで長居するのにはちょうどいいメニューが多く提供されている。

私がインタビューした人も、「ミスドはコーヒーが飲めるからいいけど、小腹が空いたら飲茶やドーナツを食べられるのもちょうどいい」と言っていた。作業をしている途中でちょっと小腹が空いたら、ドーナツや麺類を食べて……なんてことができるのだ。

提供される食事の量も、まさにこの「ちょっと何か食べたい」を叶えてくれる。例えば、ミスドの定番メニュー「汁そば」は、普通のラーメンに比べれば、量が控えめ。けれど、これが間食にはちょうどいい。具も少なく、さらりと食べられる。

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