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営業で「言った・言わない」トラブルを防ぐ心構え 誠実に対応すれば長期的にはプラスに働く

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 16時0分

責任を取るために弁償までするというケースはほとんどないのですが、もうひとつ、忘れられない事例があります。それはお客さまとオーナーさまの深刻なトラブルでした。

床が無垢素材の店舗を借りるお手伝いをしました。物件そのものは新築ではなく、築数年経った店舗です。借主のお客さまはコロナ禍でお店を1カ月ほど閉めることになり、ようやく再開しようと店を訪れたところ、床が全体的にかなりゆがんでしまいました。

人の出入りが無かったので換気はしていない状態で、あとから調べても原因はわかりませんでした。床がそのような状態なので、営業もできず、私に連絡がきたのです。

私から管理会社さまに連絡したところ、オーナーさまから「今までそんなふうになったことはない。借主の責任だ」と主張。一方、借主のお客さまにしてみると「何もしていないのに、なぜこちらが修理代を払わなくてはいけないのか!」と怒ってしまいました。

お互いが譲らず、このままでは裁判になるというところまでこじれてしまいました。私が仲介した貸主と借主が裁判で揉めること自体も嫌でしたし、そんなことをしてもお金と時間のムダになるだけだとしか思えません。

このトラブルに対して、私が責任を取るとしたらどのような方法があるだろう。そう考えて提案したのが、「私が床の修理代をお支払いするので、裁判はやめましょう」ということでした。

決して安くない金額でしたが、トラブルの電話がかかってくるたびに、私の気持ちもネガティブになっていました。私がお金を払うことで、みなさんが嫌な気持ちになっているのを終わりにしたい。それが私の考えた解決策であり、責任の取り方でした。

客観的に見ると、仲介業者の私には床の件に対する責任はまったくありません。しかし、店舗をお客さまに紹介したのは私です。その責任をしっかりまっとうしたい、そしてこれ以上、お客さまがオーナーさまと揉めるのを見たくない。そう考えたら、決して高くはない金額だと思えました。

実はその後、借主のお客さまからお礼との品とともに感謝のご連絡をいただきました。もし、あのまま裁判になっていたら、お客さまに感謝されることもなかったでしょう。そのお客さまとの縁もそれきりになっていたと思います。

「いつでも連絡できる」人

ほかには、こんなできごともありました。ご契約いただいて1年以上過ぎたお客さまから朝一で電話があったのです。

「目覚ましが鳴っているのに気づかなくて、ずっと鳴っていたら隣の家の方がバルコニーから竿で窓を叩いてきたり、何度も玄関を思いっきり叩かれて怖い」とのことでした。

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