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全員が一定の成果を出せるキーエンスの仕組み 成果のバラつきを防ぎ、全体の生産性を高める

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 13時0分

「標準化」が組織の成果を向上させ、組織を拡大させるといいます(写真:metamorworks/PIXTA)

「営業利益率5割超え」「社員の平均年間給与は2000万円超え」目覚ましい成果を上げているキーエンス。同社でマネジャーを務めた岩田圭弘氏は「キーエンスはスタープレイヤーに依存しません。メンバーが誰であれ結果が出る“仕組み”を重視しているのです」と言います。同氏の新刊『仕組み化がすべて』から一部抜粋、編集して、詳しくお届けします。

なぜ標準化すべきか?

「仕組み化」の最初のステップである「標準化」について解説します。

まず、なぜ「標準化」すべきなのかについて説明します。その理由は一部のトッププレーヤーや個人のモチベーションといった属人性に依存しないようにすることと、そのことが組織の成果を向上させて組織を拡大させる好循環につながることにあります。

また、「標準化」は社員の生産性を一定レベル以上に底上げし、脱落者を出しにくくします。そして標準化を進めるには「課題を洗い出す」「課題の対策となるルールを作る」「ルールを明文化する」の3つのステップが必要であることを説明します。

ビジネスにおいて組織のパフォーマンスを安定的に高めるためには、メンバーの行動や成果の「バラつき」を解消することが重要です。私がキーエンスで学んだ考え方の根幹にあるのは、まさにこの「バラつきをなくす」ということです。

なぜバラつきをなくす必要があるのでしょうか。理由は大きく2つあります。1つ目は、特定の個人に依存することのリスクです。1人のトッププレーヤーがいることは心強いですが、その1人が退職したり、モチベーションが下がったりすると、パフォーマンスが大きく低下してしまいます。組織の成果の再現性を高く出していくためには、この「属人化リスク」を下げる必要があるのです。

2つ目は、全体のレベルアップが図れるという点です。トッププレーヤーではないメンバーの能力を引き上げることで、組織全体の底上げにつながります。たとえば新卒が年間1000万円の売上を出せるレベルだったとして、それを教育や仕組み化によって3000万円まで引き上げられたとします。

1人あたり2000万円の差が生まれるわけです。5人いれば、トッププレーヤー1人分の売上増と同等の効果が得られることになります。このように、メンバー一人ひとりの能力を少しずつ高めていくことは、組織のパフォーマンス向上に大きな影響を与えます。

トッププレーヤーを増やすことももちろん重要ですが、それよりも多くのメンバーを一定のレベルまで引き上げることを優先すべきだと私は考えています。さらに、バラつきが小さくなれば、人員計画も立てやすくなります。1人採用したら年間でこれくらいの売上増が見込める、といった具合に数値化できるようになるのです。

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