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全員が一定の成果を出せるキーエンスの仕組み 成果のバラつきを防ぎ、全体の生産性を高める

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 13時0分

このように、バラつきをなくすことは、属人化リスクを下げつつ組織全体のレベルアップを図り、予測可能な成長を実現するための有効な手段だと言えます。キーエンスが長年高い業績を維持し続けているのも、この考え方を徹底している結果だと私は理解しています。

一見地味に見える取り組みかもしれませんが、ビジネスの世界で勝ち続けるための秘訣は、こうした基本をおろそかにしないことにあります。

「全員が“一定の成果”を出せる」のが理想的な組織

組織が1人のトッププレーヤーの能力に依存するのではなく、全員が一定の成果を出せる体制を整えることが重要だとわかりました。その理由の1つ目は、リスク管理の観点からでした。1人のトッププレーヤーに依存していると、その人が退職や病気などで突然いなくなった場合、組織の業績が大きく落ち込むリスクがあります。一方、全員が一定の成果を出せる体制であれば、そのようなリスクを軽減できます。

2つ目の理由は、組織の業績の最大化の観点からです。同じ4人のチームでも、1人のトッププレーヤーが7000万円、残りの3人が1000万円ずつ稼いでチームとしては合計1億円稼いでいるチームよりも、トッププレーヤーはいなくても4人全員が3000万円ずつ稼いでいるチームのほうがチームの合計では1億2000万円と2000万円多く稼げます。

このチームが1人ずつ4000万円稼げるようになれば、トッププレーヤーがいなくても1億6000万円稼げるようになります。しかも稼ぎ方の仕組み化がされていれば、メンバーが1人加わるだけでもすぐに他の人と同じように4000万円稼げるようになり、チームとしては2億円稼げるようになるのです。つまりトッププレーヤーがいるチームの2倍も稼げるようになるのですね。

3つ目の理由は、モチベーションの観点からです。1人のトッププレーヤーに依存している場合、その人以外のメンバーのモチベーションが下がりがちです。一方、全員が一定の成果を出せている場合、メンバー全員が自分の仕事に対して誇りを持ち、高いモチベーションを維持できます。

また、全員が一定の成果を出せる体制は、組織の拡大にも有効です。新しいメンバーを加えても、一定の成果が期待できるため、人員増強に踏み切りやすくなります。これにより、組織の拡大、会社の成長、ポストの増加といった好循環を生み出すことができます。

ビジネスにおいては、再現性が非常に重要です。会社を永続させるためには、個人に依存するのではなく、誰もが一定の成果を出せる仕組みを作ることが不可欠なのです。

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