1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

アウディ「サンキューハザード」不要にするライト 有機ELの「動き」でコミュニケーションを図る

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 10時0分

「2輪車が停車中の車両に近づいたときに、車内の乗員がドアを開けようとすると警告を出すのがアウディのエグジットワーニングで、このときリアのライトのパターンも変化して、点滅などのアニメーションを使いながら、2輪車に注意を喚起します」

モーバー氏によると、走行中に後続車が接近しすぎたときにも、リアランプのOLEDが動いて注意を呼びかけるという。

このとき、「Fernbleiben(離れて)」といった直接のメッセージは出せないので、OLEDセグメントが作るアニメーションパターンで、そのことを気づかせる必要がある。なんだかおもしろいではないか。

ライトでメッセージを表現する背景

かつて2018年にメルセデス・ベンツが「デジタルライト」なるコンセプトを発表したことがある。路上にメッセージを投影するタイプのコミュニケーションライト技術だ。

ユニークだったのは、道路をいわばスクリーンに使うライト投影のコンセプト。道路工事をしていて車線がない場合でも、ナビゲーション地図を使ってライトが仮想車線を投影したり、路面に凍結があると、雪の結晶のアイコンをドライバー前方の路面に投影して注意を喚起してくれたりといった具合。

中には、道路の横断を考えている歩行者を発見して停車したとき、歩行者のために横断歩道のゼブラを投影して「どうぞわたってください」と知らせるコンセプトもあった。私は当時、このコンセプトカーに同乗してこの技術を体験し、感心したことを覚えている。

ただし、道路上のサインは警察などの管轄になるため、「それと抵触するので、当初のコンセプトは大幅に縮小せざるをえなかった」と、後で知らされた。Q6 e-tronが車体のみをメッセージボードとして使うのは、そんなことが背景にあるからかもしれない。

Q6 e-tronでは、前述のようにフロントランプにもアニメーションパターンを持っており、一般的にはドライバーがクルマに接近したときのウェルカムや、クルマから離れていくときのグッバイのメッセージを光の動きで伝える。以前よりも、ずっと複雑な動きになっているのがおもしろい。

Android Automotive OSで変わるクルマ像

アウディが属するフォルクスワーゲングループでは、新型車に新しいOSを積極的に採用し、インフォテインメントシステムの大幅なアップデートを図っている最中だ。

Q6 e-tronでは、Android Automotive OS(AAOS)を導入して、車内でさまざまなアプリを使えるようになっていて、サードパーティが開発したゲームもダウンロードして楽しめる。それは新しい世代の「ゴルフ」しかり、ランボルギーニ「レヴエルト」しかりだ。

「ChatGPTも導入し、さまざまな音声入力コマンドがよりフレキシブルになる」とは、先のモーバー氏の言。ナビゲーションの目的地入力もより簡単になるし、音楽再生時に「ビヨンセの人気曲をリストアップして」などのコマンドに対応してくれる。人間のオペレーターに頼らなくてもよくなるのも、コスト削減におけるメリットだ。

「アプリのローカライズは、たいへん重要な課題でした。それを可能にしてくれるOSやアプリが、クルマの価値と結びつく時代なのです」

クルマの電動化が進むのと並行して、目には見えにくい部分でコンテンツが新しくなっていく。アウディは、確実に未来へと歩を進めているようだ。

【写真】Q6 e-tronのOLED点灯パターンとメカニズム(30枚以上)

小川 フミオ:モータージャーナリスト

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください