1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「全国630の商店街」巡って撮り続けた"昭和の姿" 休日に各地の商店街を訪ねる会社員の日常

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 9時0分

目的地に到着したら、散策をしつつシャッターを切る。見たままのアングルで素早く撮るのが山本さんの撮影の流儀だ。スマホのカメラよりも機動性に優れ、一眼レフより威圧感がなく携帯しやすい、コンパクトデジカメのCanon IXYシリーズを長年愛用している。

写真は後日整理してブログやX(旧Twitter)に投稿する。何年も前に訪ねた商店街の写真だったり、直近に訪れた商店街の写真だったりと、投稿の順番は山本さんの気分次第だ。

平日はシステムエンジニアとして働く

こうして休みの日は商店街巡りにいそしむが、冒頭でも触れたように、平日は大手小売業のシステムエンジニアとして働く。

社内で働く人たちが、業務を効率よく回せるよう、システムを改善したり、作業しやすいように手順書を作ったりするのが山本さんの仕事。リモートではなく、出社して朝9時から18時まで働いている。

「趣味と仕事はまったくの別物」と話す山本さんだが、意識せずとも仕事のやり方が趣味に生かされていると感じている。

「趣味でもPDCA(計画・実行・評価・改善)を回してより効率よく成果を出そうとするところは、仕事で学んだことそのままですね。読者の反応を見ながら写真を選ぶときには、マーケティングっぽいことしてるな、と感じることもあります」

忙しい日々の中で、どのように商店街巡りの時間を捻出しているのか。

独身のころは休日のほとんどを商店街巡りに費やし、年間80カ所ほど訪ね歩いていたと語る山本さん。結婚して子どもが生まれてからは、その頻度は月1程度に減っている。

それでも、仕事では「人の1.3倍」働き、就業時間内になるべく仕事を終わらせることを心がけているという。

「与えられた仕事にプラスして、組織全体がもっと楽になるようなことを考えて提案し、どんどんやることを意識しているんです。仕事の密度が上がると、休みが取りやすくなり、自分の時間を捻出することもできます」

店員さんと話すことでドラマが垣間見れる

商店街巡りに話を戻そう。山本さんが好きなのは、古い店舗が通路の両側にずらりと並ぶ、市場のような商店街だ。

「『立石仲見世』がそうですね。維持の大変さや延焼防止の観点から屋根を撤去する商店街が増えていますが、ここは屋根があるのがいい。屋根があると、商店街の密度は3倍増しになると思っています。

雑二ストアー(東京都豊島区)も好みの商店街です。2022年に閉業しましたが、いまも建物は残っています。営業していたころの写真を見ると、細い通路の両側に商品の棚がズラリと並んでいて白熱球が灯っている。こういう通路を歩いていると、テーマパークのアトラクションを進んでいるときのようにゾクゾクしますね」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください