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SearchGPTが「ググる」常識を変えるかもしれない 検索に特化した新AIサービスはわれわれの生活をどう変えるか

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 8時50分

AI Overviewsによる回答は必ず表示されるわけではなく、ユーザーに特に役立つ情報を提供できるとGoogleのシステムが判断した場合にのみ提示される。また、その回答の傾向は、どちらかといえば初心者向けの簡単な要約や入門的な情報を返すことを重視している。この点は、質問されたトピックについてより直接的な回答を生成し、さらに引用部分や情報ソースへのリンクを明確に提示することで、情報の透明性を強調するSearchGPTの特徴とは異なっている。

いずれもまだ開発が進められている段階であり、それぞれの機能や特徴は時間とともに進化していくだろう。また、その進化の先では、両者ともまったく同じような動作に収束していく可能性も考えられなくはない。

OpenAIは、SearchGPTはまだ限定的なプロトタイプの段階だとしている。これが広く一般に公開されるようになるには、少なくとも数ヵ月以上の期間がかかると考えられ、2024年内2位リリースされる可能性は低い。

SearchGPTは今後、ベータ版を試用したテスターからのフィードバックに基づいて機能の追加や動作の調整が行われ、2025年にかけて徐々にChatGPTに統合されていくことになるだろう。フィードバックの内容やテスト結果次第では、単独のサービスとしてリリースされる可能性もあるかもしれない。

AIウェブ検索の登場で考えられる変化

SearchGPTやAI Overviewsのようなサービスが出てきたことで、ウェブ検索分野におけるロボット型検索エンジンの時代が、AIウェブ検索の時代へと移り変わっていく可能性も出てきた。AIウェブ検索が主流になれば、今ほどにはSEOでGoogleのクローラーへの最適化を意識する必要もなくなるかもしれない。

ただし、すぐにそうはならないだろう。Googleはウェブ検索を出発点として、数十年にわたりインターネット上の膨大な情報を分析し、その検索技術、情報収集技術をシームレスに活用してGmail、YouTube、マップサービスを展開するなど確固たる地位を築き上げてきた。そのため、サービスの核であるウェブ検索をいきなりAI Overviews主体に切り替えるとは考えにくい。

AIを活用したウェブ検索が普及すれば、これまでよりも少しは人々が情報を入手しやすくなると考えられる。

しかし、そこには倫理的に考慮すべき問題もある。例えばAIが生成する検索結果における潜在的な偏りや、ChatGPTでも話題になった「幻覚」のような、誤った情報や偽情報の拡散、検索を通じてユーザーの行動を追跡・分析するなどといったプライバシーに関する問題などが懸念される。

また、検索エンジンが直接的な回答を提供することで、AIが利用する一次ソースとなるウェブサイトへのトラフィックが減少し、その結果、コンテンツ製作者が不利益を被る可能性にも対処する必要がある。

そのほか、AIと人間によるキュレーションのバランス、信頼と透明性の重要性、AI生成コンテンツの倫理的な影響なども、やはりこれから慎重に検討すべき事柄だ。

AIテクノロジーの進歩は今後もいろいろな場面で情報の扱い方を変えていくだろう。SearchGPTの登場は、検索エンジンの分野における大きな進歩となる可能性がある。自然な会話による検索、直接的な回答、情報ソースの透明性への取り組み次第では、われわれのインターネットでの情報入手のしかたが、ガラリと変わる可能性もありそうだ。

タニグチ ムネノリ:ウェブライター

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