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紫式部が見た「中宮彰子」の異様すぎる"出産光景" 出産は「物の怪」との戦い、涙を流す女房の姿も

東洋経済オンライン / 2024年8月10日 9時0分

京都御所(写真: 白熊 / PIXTA)

今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は中宮・彰子の出産時のエピソードを紹介します。

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中宮・彰子の身体に異変が起きる

寛弘5年(1008)9月9日、出産を控える一条天皇の中宮(藤原道長の娘)・彰子に異変が起きていました。

【写真】中宮・彰子は出産直前に、白い御帳台に移られた。写真は清涼殿の御帳台

『紫式部日記』によると、紫式部が御前に参上したのは、空が月にかかる夕暮れ時の頃。すでに、小少将の君や大納言の君などは、御前に控えていました。

お香を取り出して、香りを試していた中宮に、女房たちは「庭の景色が綺麗なこと」「蔦の色づきが待ち遠しい」などと語りかけていました。

そんなやりとりも垣間見ることができましたが、中宮の様子は、いつもより苦しげだったようです。その様子を見て、紫式部の心はざわめきます。

その後、紫式部は局(部屋)に下がって横になり、仮眠のつもりが、深く寝入ってしまいました。

そして夜半になると、屋敷は騒がしくなり、ガヤガヤと人々の声が紫式部の耳に入ってきます。

(いよいよか……)。紫式部の心は湧き立ち、それからは一睡もしなかったのでしょう。

明け方頃、中宮は白い御帳台(天蓋付きのベッド)に移られます。道長やその子どもたち、四位や五位の官人たちが、御帳台の白い帳を、ワイワイ言いながら掛けたようです。

その日の中宮は不安げな様子で、起きたり、横になったりを繰り返しながら、過ごされました。

そんな中宮の周りには、数カ月前から集められた僧侶や修験者、陰陽師がそろって集合しています。

ある者は大きな声を出し、中宮に取り憑いた物の怪を追い出して、形代(呪術の道具)に移すための作業を行いました。そして、陰陽師はお祓いをしていました。

紫式部はこのときの様子を「多くの者が加持祈祷をしている。仏が飛び回り、邪霊退治をされているに違いない」と日記に記しています。祈祷の声の騒々しい様子が伝わってきますね。寺院に読経を依頼する使者も、その日1日、慌ただしく動いていました。

中宮への想いが募り泣き出す女房も

そうこうしているうちに、その日は暮れ、また朝がやって来ました。

御帳台の東側には女房たちが控え、西側には、物の怪を封じ込めた「形代」が置かれました。屏風で作った出入り口では、修験者がお祓いの声を張り上げる厳戒態勢のまま。南側には、高僧たちが折り重なるように座り、祈祷していましたが、その声はすっかり枯れていたようです。

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