日本の少子化問題が解決できない「本当の理由」 少子化の要因は晩婚化や晩産化などではない
東洋経済オンライン / 2024年8月10日 10時0分
政府の「少子化対策」はそのことごとくが的外れであると、当連載においても繰り返し述べてきたことですが、的外れな対策の繰り返しで、ついに2023年人口動態調査の概数値では、出生数が前年比▲5.6%の72万7277人まで低下、合計特殊出生率も1.20という戦後最低レベルにまで低下してきました。
【画像でわかる】出生数の減少が「一人目が産まれてこない問題」
先ごろ発表された2024年人口動態速報値(1~5月累計)でもその基調は変わらず、出生数は前年同期間比▲4.9%であり、仮にこのままの推移でいけば、2024年の年間出生数は69万人と70万人を割ることになるでしょう。
子育て支援の拡充で出生数は増えない
政府の少子化対策が効果をあげられないのは、それが子育て支援一辺倒であるからです。子育て支援は否定しませんが、それをどれだけ拡充させても出生数の増加には寄与しません。
一部では「今いる夫婦が3人目を産めば少子化は解決する」などという論を展開する者もいますが、それはまったくの間違いです。
出生数が激減しているのは、結婚した夫婦がたくさんの子どもを産まないからではなく、一人目が生まれてこない問題だからです。その中には、結婚した夫婦の無子割合が増えているということももちろんありますが、それも本質ではありません。一人目が生まれてこない問題というのは、イコール婚姻数が増えていない問題です。
出生順位別の合計特殊出生率の長期推移をみれば、現状の出生数の減少が「一人目が産まれてこない問題」であることが明らかになります。
以下のグラフは、第2次ベビーブーム期から2022年までの、第一子の出生率と第二子以降の合計出生率とを比較したものです。
一目瞭然ですが、基本的には第一子出生率よりも第二子以降出生率のほうが上回っています。つまり、第一子を産めば、少なくともそれと同等以上の第二子以降が誕生しているわけです。
ただし、第二子以降出生率が大きく下がった時期がいくつかあります。ひとつは、1974年以降で、第一子の低下よりも先に第二子以降が減っています。これは、当時、政府が「子どもは2人まで」政策というのを掲げ、むしろ多産を抑制する方向に舵を切ったことが大きく影響しています(参照→日本で「子どもは2人まで」宣言が出ていた衝撃)。
第一子の出生率の回復こそが出生数や出生率を改善する
さらに、バブル崩壊後の1990年代初頭から就職氷河期にあたる2005年にかけて、第一子出生率はほぼ変わらないのに、第二子以降出生率だけが激減しています。
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