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日本の少子化問題が解決できない「本当の理由」 少子化の要因は晩婚化や晩産化などではない

東洋経済オンライン / 2024年8月10日 10時0分

確かに、この時期においては、「少子化とは第二子や第三子が生まれない問題」であったでしょう。この時期においては、子育て支援の拡充などで夫婦の子どもの数を増やすという方向は間違ってはいません。しかし、その中でも、第二子以降の出生率が第一子出生率を下回ったことは一度もありません。

2006年以降から2015年にかけては、第一子出生率の回復とともにやや遅れて第二子以降出生率も上昇に転じています。勘違いしてはいけないのは、これは別に政府の少子化対策が奏功したわけではありません、1970年代初頭に第二次ベビーブームで生まれた人口の多い団塊ジュニア世代がちょうど30代後半を迎える頃で、ある意味駆け込み的に結婚・出産をした時期と重なるためです。

全体的に言えることは、基本的に第一子の出生率の回復こそが出生数や出生率を改善する大きなポイントであることがわかります。

よくよく考えれば当たり前の話です。第一子が生まれなければ第二子も第三子もないわけで、2015年以降つるべ落とし的に全体の出生率が減少続きで、2022年には第一子出生率が0.59にまで低下。これは1970年代以降どころか、明治以降の統計史上でも最低記録です。まさに少子化のその原因は「第一子が産まれてこなくなったから」に尽きるのです。

この第一子出生率の減少は、婚姻数の減少とリンクするものですが、より詳細に年齢別に見れば、「20代での婚姻と出生が減った」ことと完全に一致します。

20代での婚姻と出生はどれほど減っているのか

以下のグラフは、年齢別に妻の初婚数、第一子出生数、第二子以降の出生数の2000年から2022年までの推移を一覧にしたものです。

大きく減少しているのは、29歳以下の初婚数であり、2000年対比65%減です。同様に、29歳以下の第一子出生数も60%減であり、初婚の減少がそのまま第一子の出生減と結びついています。

一方で、30~39歳の初婚や第一子出生数は2000年から2015年にかけてはやや増加しましたが、2015年から2022年にかけてはこちらも減少しています。初婚数と第一子出生数の増減が完全にリンクしているという点では29歳以下と同様です。

ちなみに、30代での第二子以降出生率が突出して高いように見えますが、これを実現するのも20代での初婚、第一子出生をした層が存在する前提のうえの話です。

まとめれば、出生数が減っているのは、20代までの第一子の出生数が減っているからであり、20代までの第一子出生数が減っているのは、20代までの初婚数が減っているからであるということになります。

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