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「日航機墜落事故」39年後に湧いた真相への疑問 時間の経過により見えてきた真実とは?

東洋経済オンライン / 2024年8月12日 11時0分

墜落事故の概要をもう少し説明してみよう。乗客乗員524人を乗せた日航123便(JA8119号機)は、羽田空港を離陸して12分後に「ドーン」という異常音とともに客室内の与圧空気が圧力隔壁の裂け目から一気に吹き出した。

旅客機は地上とほぼ同じ気圧を保って飛行するために客室内は与圧されている。つまり、航空機は風船のように膨らんだ状態で飛ぶ。客室と機体尾部の非与圧空間とを仕切っているのが、大きなお椀の形をした後部圧力隔壁(直径4.56メートル、深さ1.39メートル)だ。

 圧力隔壁の裂け目から機体尾部の非与圧空間に吹き出した与圧空気は、上部の垂直尾翼を吹き飛ばすとともに機体をコントロールする4系統すべての油圧装置(ハイドロリック・システム)を破壊した。

機体は操縦不能となった。ドーンという異常音で始まる隔壁の破断から機体尾部の破壊まで1秒もかかっていない。破断、破壊は瞬間的に起きていた。それだけ与圧空気の力は強く、すさまじかった。

コックピットの機長や副操縦士たちは何が起きたかわからず、32分間、機体を激しく上下左右に揺さぶられながら迷走飛行を強いられた末、午後6時56分過ぎ、群馬県多野郡上野村の御巣鷹の尾根に墜落した。

なぜ世界最高の高度な技術を持つボーイング社の修理チームが初歩的な修理ミスを犯したのだろうか。圧力隔壁の修理はしりもち事故で壊れた下半分を新品と交換して既存の上半分に接合するもので、ボーイング社の修理チームにとっては簡単な作業だった。板金加工並みの単純な仕事である。

羽田空港の作業現場でアメリカ連邦航空局(Federal Aviation Administration=FAA)の認定資格を持つ、ボーイング社の技術者(エンジニア)が作業員(メカニック)に出した作業指示・記録書(Field Rework Record=FRR)は間違ってはいなかった。だが、作業員は指示通りに修理をしなかった。なぜ指示通りに作業をしなかったのだろうか。

修理ミスを犯した背景の説明はなし

日本航空はボーイング社を信頼して契約を結んで修理を依頼した。ボーイング社にとって日航は顧客である。日航は大切なお得意さまだ。それにもかかわらず、日航は裏切られた。もちろん日航に安全運航上の義務や責任はあるが、日航・松尾ファイルを読み進むと、ジャンボ機墜落事故の責任は全面的にボーイング社にあることがわかってくる。

日航は本当に加害者なのか。被害者ではないのか。どうして日航はボーイング社に対し、訴訟を起こさなかったのだろうか。

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