JR西「人型重機」の人機一体、2足歩行ロボで新展開 「マクロス」の河森正治氏デザイン、変形機能も
東洋経済オンライン / 2024年8月12日 7時30分
「潮目が変わる瞬間をこれからみなさんは目撃する。後から振り返ればこの日が始まりだった、あのときこの場所にいたんだぜとみなさんが言えるような日にしたい」
【写真】「零式人機」をベースに日本信号が製品化した「多機能鉄道重機」など。「零一式カレイド」のコックピットは足にも操縦桿
ロボットベンチャー企業・人機一体の代表を務める金岡博士氏は、会場いっぱいの聴衆にこう語りかけた。8月1日に滋賀県草津市内のイベントホールで開かれた成果発表会。壇上では人機一体が開発したロボットたちが出番を待つ。
「人間を生身の苦役から解放する」
人機一体は先端ロボット工学技術を活用した重機、「人機」を開発している。同社によれば人機とは「人間のみ、あるいは機械のみでは実現できない機能を、人と機械の相乗効果によって実現する効果器」。
その意味で人機は人型の重機という意味ではなく、実際、単腕型の重機なども開発しているのだが、注目度が高いのはJR西日本や日本信号と共同開発した高所作業用の汎用人型重機「零式人機」のような人型である。操作者が操縦桿から加える操作力がロボットの手先の駆動力となり、ロボットの動きが操縦桿にフィードバックされる。このため、ロボットを自らの体の延長のように操作できる。
金岡氏は「人型にこだわっているわけではないが、人型になれば未来が来たと世の中に実感してもらえる」と話す。
金岡氏は「過酷で危険を伴う労働環境において人間に代わって人機が作業を行えば、人間を生身の苦役から解放することができる」という確信を持つ。人機が社会に欠かせない存在となれば、自動車やコンピューターのような主要産業になる。この日の発表会は実現に向けた「スタートライン」なのだという。
では、何が発表されたのかというと、2つある。1つ目は「零式人機」をベースに日本信号が製品化した「多機能鉄道重機」の実戦デビュー。JR西日本が7月から和歌山県内の鉄道の営業線において同機を使って保線作業を始めた。日本信号は外販にも意欲的で、会場では販売用のチラシも配られていた。
「よちよち歩き」に見える理由
もう1つ発表されたのは2本足歩行する人型ロボットである。JR西日本の営業線で実用化された人型重機は人型といっても上半身のみ。今回登場したのは川崎重工業が研究開発を行っている人型ロボット「Kaleido(カレイド)」をベースに人機一体の制御技術を組み合わせた「零一式カレイド」である。
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