ほぼ黒塗り!半導体ラピダスへ「巨額支援」は正当か 経産省は前のめり、浮上した政府保証付き融資
東洋経済オンライン / 2024年8月13日 8時0分
半導体業界がざわついている。震源地は時価総額で一時、世界一となったアメリカのエヌビディアだ。AI半導体ブームに乗って急成長し、マイクロソフトなどGAFAMも一目置く。『週刊東洋経済』8月10日・17日合併号の特集は「エヌビディアの猛威 半導体覇権」。日本勢は巨額投資で巻き返しに必死だが……
2022年に設立され、最先端「2ナノ」世代の半導体の国産化を目指すラピダス。トヨタ自動車やNTTなど国内大手8社が出資する同社は、2027年の量産開始に向けて北海道千歳市に工場を建設中だ。
【写真】経産省などにラピダスに関する情報の開示請求を行ったが、返ってきた書類は“ほぼ黒塗り”だった
経済産業省はそのラピダスに対して24年4月に、最大5900億円の支援を行うことを発表した。これで累計支援額は9200億円にも上る。
「資金調達についてはこれからしっかりと考えていかなくてはいけない」。ラピダスは他社との提携など動きがある際に会見を行う。会見時にたびたび話題に上がるのが資金調達についてだ。記者から問われた際、小池淳義社長はそう語るようになっている。
「研究委託」という枠組みで行われる支援
近年膨らむ経産省による半導体産業への支援は、あくまで企業自身が行う設備投資への補助が中心だ。例えば、台湾の受託生産最大手TSMCが発表した熊本工場への200億ドル以上(約3兆円)の投資計画には、うち4割に当たる最大1.2兆円を支援。国内の装置・材料メーカーにも投資計画に比べて数割の助成を行っている。
その意味でラピダスが行ってきた資金調達は事情が異なる。まだ事業が立ち上がっていない同社に投資余力は皆無。同社への支援は、経産省が所管する独立行政法人であるNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から、ラピダスへの「研究委託」という枠組みで行われている。
突如浮上した、融資への「政府保証」
総投資額で5兆円とも予想される中、目先に迫った課題は、量産までの資金調達だ。
ラピダスへの研究委託は2019年に設立された「ポスト5G基金」から捻出されてきた。だがコロナ禍以降、国の基金が乱立。政府は2024年4月に基金の管理を厳格化する方針を打ち出した。基金に新たな予算を追加できるのは最大3年間までとなり、その後の増額については成果によって判断する。ラピダスが量産開始を目指す2027年まで、現在の枠組みで支援を受け続けられるかは不透明だ。
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