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ほぼ黒塗り!半導体ラピダスへ「巨額支援」は正当か 経産省は前のめり、浮上した政府保証付き融資

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 8時0分

「日本の支援規模は各国に比べて突出している」。5月21日に財務省の財政制度等審議会は、日本の半導体産業への支援金額がGDP比で各国に比べ、高水準にあることを指摘。「安定的な財源と一体で出口戦略を含めた戦略を描くべき」だとする建議を行った。

一方、その10日後の同月31日に経産省は、「税額控除も含めれば日本の支援額は各国並みかそれ以下に収まる」と分析した資料を公開。資金調達方法を多様化するため、ラピダス向け融資に「政府保証」をつける案を検討していることを明らかにしたのだ。法制化も目指すとしている。

この融資保証に「違和感がある」と財政審の委員も務める一橋大学大学院の佐藤主光教授は疑問視する。「融資保証は投資への責任が曖昧になりモラルハザードにつながりかねない。資金力のない中小企業などには行われてきたが、ラピダスは株主構成から事実上“大企業グループの子会社”で、同社にはそぐわない」。

経産省と財務省の舌戦が象徴するように、不透明になってきた資金調達の先行きは、ラピダスの取引先企業の意思決定にも影響しつつある。「千歳に事業用地を取得しようとしていたが、将来どうなるかわからなくなってきた。いったんリースにすることも検討している」(取引先関係者)。

不透明なのは資金調達の行方だけではない。資金の運用方法の透明性にも課題がありそうだ。

そもそもラピダスも依拠してきた基金とは、複数年度にわたるテーマでも、各省庁の裁量で支出ができる仕組みである。長期間にわたって継続的な投資が必要になる半導体分野など、単年度予算主義の日本でも長期的な支援ができることがメリットになる。

ただ、佐藤教授は基金の運用には、「単年度の予算と違い、外からの監視の目が行き届きづらい。支出先や金額は妥当か、効果はどれだけあるか。問われるのは説明責任だ」と指摘している。

返ってきた開示請求は”黒塗り”ばかり

では実際にどれだけ外部からの検証が可能なのか。東洋経済は実際にそれを確かめるため、経産省とNEDOの両者に、ラピダスに関する情報の開示請求を行った。

経産省に対しては、ラピダスへ2600億円支援を決めるまでの過程の審査書類の開示を請求。2600億円は23年に決まったもので、主に千歳工場の着工をするための資金である。誰がどう意思決定したか確認するためだ。

またNEDOにはラピダスに行った検査の書類開示を請求した。NEDOは、ラピダスなど研究委託先へ資金を拠出した際、正しく使われていたか検査する作業を行っている。こちらもどう検査されているのかを確認するためだ。

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