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自分の仕事じゃない他人のフォローで疲弊する訳 余裕のなさとマネジメント不足が招く理不尽

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 15時0分

名もなきフォローが必要な職場というのは、メンバー個々の能力やスキル不足から生まれると思われがちですが、組織としての構造的な問題が根底にある場合も多いのです(写真:metamorworks/PIXTA)

どんどん余裕がなくなっていく職場で、同僚をフォローすることに疲れていませんか? これまで20年間で1万人以上の働く人の相談に乗ってきた、労働者メンタルヘルスの専門家が考える「職場でつぶれずに生き抜くヒント」とは――。

※本稿は、『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』から一部抜粋・編集したものです。

人に教える余裕も時間もない職場

【例】
退職者が出て、3人でまわしていた業務を2人でやることになった。半年後にやっとパートタイムの補充があったが、2年間の期限つき。前任者と同じような仕事をお願いするわけにはいかず、負担が減らない。

昨今、どこの職場でも「余裕のなさ」をひしひしと感じます。退職者や異動者が出たとしても、すぐに補充されるとはかぎりません。

補充されたとしても非正規雇用という場合も多く、稼働が限定され、その穴を埋めるためのフォローが必要になることがあります。

また、有期雇用の場合であれば、そう遠くない未来にやめることを前提に教えなければなりません。当然、長期的な視点での教育は難しくなり、習得に時間がかかる仕事は任せられなくなります。

一方で、評価制度においては、多くの場合、個人の業績目標をもとに達成度をはかる設計となっているので、人のフォローに時間や労力を使っても自分の評価に直接つながることはありません。結局、「仕事を教えてあげたいけど教えられない」という現実が生まれます。

「時間があれば、ちゃんと教えてあげたいんだけど、とてもそんな余裕は……」という言葉をよく耳にしますが、実はこの言葉の背景には、単に忙しくて時間がないということだけでなく、このような職場の構造上の問題があるのです。

この現状を「教えてもらう立場」になって考えてみると、じっくり教えてもらうことも順当な経験を積むこともなく、即戦力になることを期待されます。スキルや経験値と責任のバランスが悪くなってしまうのも当然です。

人が補充されても負担が減らない理由

丁寧に教えてもらえない。でも、目の前の業務はやらないといけない。そういう状況では、どうしても自己流で仕事をこなすしかありません。ときには、やっつけ仕事にならざるをえないこともあるでしょう。

メンバーが自己流で仕事をこなしていくうちに、それぞれの人の成長と自信につながっていく場合もあるので、こうした職場は、一見、自律的、効率的にうまくまわっているように見えます。

しかし、組織全体から見ると、業務がほかの人と重複していたり、逆に「それは自分の仕事ではないから、ほかのだれかがやるべき」とおたがいに押しつけあって業務に穴があいたりしていることが多いのです。穴があいていれば、当然、それに気づいた人がフォローしなければならなくなります。

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