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「認知症とお金」早期治療・ケアで必要な金額は? 300万円の新薬の「メリット」は?専門家に聞く

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 9時0分

認知症のケアに関わる費用は大きく3つに分かれる。「直接の医療費」と「公的介護費用」、それから「家族・介護者のインフォーマルケアコスト」だ。

直接の医療費とは、医師の診察や検査、薬などにかかる費用のこと。公的介護費用は、認知症早期だとあまり使用することはないが、介護保険を利用して受ける訪問介護(ホームヘルパーによる)、通所介護(デイサービス)、訪問入浴介護などの費用だ。

各サービスに単価があり、例えば、介護スタッフが専用の浴槽を積んだ車で訪問して入浴をサポートする訪問入浴介護は、地域や事業所によっても異なるが、自己負担が1割なら1回あたり1200円ほどとなっている。

インフォーマルケアとは聞きなれない言葉だが、「日本語に直すと“非公式のケア”。つまり、お金を払って行ってもらう部分を、家族らが無償で代行しているケアを指します。日本の実態として、多くは家族が無償で、水面下で苦労しています」と五十嵐さん。

そのため、認知症のケアの費用を考えるには、医療費や公的介護費用だけを見ても仕方がないという。「インフォーマルケアを可視化して考えなければ、認知症の全容は見えません」(五十嵐さん)

五十嵐さんのまとめによると、月間の費用は以下の図のようになる。

入院や施設入所ではなく自宅で過ごす場合、MCI (軽度認知障害)ではおおむね7万3000円で、内訳は医療費1万円、公的介護費用1万6000円、インフォーマルケアコスト4万7000円。

同様に軽度認知症は21万円で、そのうち医療費が2万3000円、公的介護費が5万6000円、インフォーマルケアコストが13万円だ(中等度認知症、高度認知症のケースについては2回目で紹介します)。

これはいずれも、健康保険や介護保険が適用される前の金額なので、インフォーマルケアコストは別として、実際に支払う金額はこの1~3割ということになる。

ここに示したものは既存の薬が中心で、2023年12月に発売された医療用の新薬レカネマブ(製品名レケンビ)を使用したケースは含まれていない。そのため、医療費は比較的抑えられている。

対照的に、インフォーマルケアコストが費用の6割程度を占めていることに注目したい。

前出の藤田さんの例でいえば、通院のためのガソリン代などの費用も積み重なる。さらに、家族が通院に付き添うなどすることで、世帯収入が減少し、生活への経済的な負担が増大する。これらがインフォーマルケアコストといえるだろう。

新薬の金銭的メリットはどれくらい?

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