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スマホの子供への悪影響は保護者の使い方だった 子供の使用時間と心の成長に関連は見られなかった

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 10時0分

(写真:mits/PIXTA)

感情・表情分析の専門家として、保護者や小・中・高の教員向けにセミナーを行うなかで、「子供のスマホ利用は、心の成長に悪影響を与えるか?」という質問をよく受けます。その背後には、「スマホばかりいじっている子供をどうにかしたい」「何時間までの利用なら問題ないのか」という思いがあるようです。

そこで本日は、スマホを含め、デジタルメディアの利用と子供の心の成長の関係について解説したいと思います。

デジタルメディアは子供の心の成長に悪影響?

結論から書きます。一つは、デジタルメディアの利用時間よりもコンテンツに注意を払ったほうがよい、ということ。もう一つは、保護者のデジタルメディア利用が子供に悪影響を与えうる、ということです。なぜ、こう言えるのでしょうか。ナビら(2022)の調査が、興味深い知見を教えてくれます。

ナビらは、スマホ、コンピュータ、テレビ、ビデオゲームなどのデジタルメディア、読書や屋外活動などの非デジタルメディアに関わる平日・休日における子供の利用・活動時間、および、子供の感情理解度・共感力・感情調整力について、5歳から12歳の子供を持つ400人の保護者に尋ねました。

子供の感情理解度というのは、正確には情動知性といい、「私の子供は、自分の『嬉しい』ときを知っている」「私の子供は、自分の感情が変化するのを理解している」「私の子供は、ポジティブな感情を強調し、ネガティブな感情を抑えるというコントロールをする」というような質問から把握します。

共感力は、「私の子供は、自分より恵まれない人に対して、優しく心配する気持ちを持つ」というような質問から把握します。感情調整力は、「怒りっぽく、かんしゃくを起こしやすい、衝動的である」というような質問から把握します。こうした質問項目に対して、自身の子供が当てはまる度合いを保護者に答えてもらいました。

また、保護者自身のデジタルメディア利用状況も尋ねました。さらに、物語に登場するキャラクターの感情について子供に質問したり、子供と話をしたりするかなど、子供との感情的関わりを保護者がどの程度持っているかについて尋ねました。

調査の結果、次のことがわかりました。

子供のデジタルメディア使用時間と子供の感情理解度・共感力・感情調整力に関連は見られませんでした。つまり、デジタルメディアの使用時間は、感情に関わる心の成長に悪影響を与えるわけではないようです。

この研究では、デジタルメディアのコンテンツは問うていないのですが、暴力的な映像を笑顔で楽しむ子供とその後の子供の暴力的行為に関連を見いだす研究などがあることから(例えば、Ekmanら, 1972)、使用時間よりコンテンツに気をつけたほうがよさそうです。

子供の前で注意が分散され、無表情になる

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