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大工激減の一方で、「大工講座」が大人気の事情 副業・兼業大工が増えることの意味とは

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 10時30分

全国建設労働組合総連合(全建総連)が参加する建築大工技能者等検討会の調査では、雇用されている社員大工ですら、全体の53%が日給月払制で、雨で休みの日が増えると給料が減るという状況。建設業技能労働者男性平均(465.1万円)は、全産業平均給与(487.3万円)を下回る。

7人の求人に対して、採用できるのは1人

大工はさらに安くて377.7万円。週休1日制が45%を占めるなど休日も少なく、福利厚生などを整備したくても難しいという状況だ。「処遇引き上げ、就労環境の改善は喫緊の課題です」と、大工・左官などの建設業に従事する人たちの組合である、全建総連の技術対策部長・小林正和さんは言う。

国や業界団体も手をこまぬいていたわけではない。例えば、公共工事設計労務単価は年々改定されてきてはいる。だが、それと職人の給料アップがイコールかと言えば実態は極めて疑わしく、年齢、技能の熟練度を考えると相変わらず低賃金に甘んじている例も少なくない。

全建総連でも各地域の加盟組合が認定職業訓練校を運営して、若年技能者の就職と職業訓練をセットにした取り組みを進めているが、そもそも技能者を目指す若者が大幅に減少。従来行ってきた工業高校への声掛けといった訓練生募集などのアプローチだけでは訓練生確保は難しくなっており、1996年以降認定職業訓練校への進学者は減り続けている。

その結果、建設業では7人の求人に対して1人しか採用できておらず、しかも、そのうちの4割が3年以内に辞めるという結果に。製造業でも2人に1人を採用できていることを考えると、いかに若手が参入しない業界になってしまっているかがよくわかる。この減少を食い止めるためには給料を上げる一方で休みが取れるような状況にしていくことが必須なのである。

一方、大工やモノを作る仕事自体については関心のある子どもたちは少なくない。クラレの小学6年生の「将来就きたい職業」では2020年の男の子3位が大工、第一生命の「大人になったらなりたいもの」も同年の小学生男子の10位は大工だ。コロナ禍で室内での仕事に人気が集まっているものの、ものづくりという仕事自体に魅力を感じている子どもたちがいるのだ。

子どもたちが感じている魅力をどうやって現実につなげ、実現可能な建設業を実現していくか。注目したい動きがある。2023~2024年に神戸市で開催し、多くの参加者が集まった、建築集団「西村組/合同会社廃屋」による半人前大工育成講座である。

副業や兼業で家を直せる「半人前の大工」を育成

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