"かぞかぞ"河合優実「令和版あの女優」になる確信 時代への疲労感を抱えた圧倒的な存在感
東洋経済オンライン / 2024年8月13日 11時0分
「2024年の顔になる」という宣言をしようと思い、このタイミングになってしまった。でもはっきりいって、もう「顔」になったのではないか。
河合優実のことだ。名前を「(かわい)ゆみ」ではなく「ゆうみ」と正しく読める人も増えたことだろう。
そして現在、昨年NHK BSプレミアム(当時)で放送され、好評を博した彼女主演『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(以降「かぞかぞ」)がNHK総合で再放送中。パリ五輪の関係で2週間あいたのだが、今夜からまた再開される。
2024年の夏は、日本全国が、河合優実の埋蔵量に驚いている夏だ。というわけで今回は、そんな彼女のすごみについて確かめてみたい。
河合優実がここまで盛り上がるきっかけ
河合優実がここまで盛り上がる直接的なきっかけとなったのは、この連載でも取り上げた今年1~3月放送、TBSドラマ『不適切にもほどがある!』における1986年の不良少女、小川純子役のハマり具合だった。
ドラマを成功に導いた主要要因のひとつが河合優実演じる純子であることに、異論は少ないだろう。
次に6月に公開された主演映画『あんのこと』。幼い頃から母親に暴力を振るわれ、さらには10代半ばから売春を強いられ、薬物依存症になってしまうという、『不適切にもほどがある!』にさらに輪をかけた難役。
映画を観た方は、冒頭における薬物依存症姿のリアリティ、特にくすんだ眼光を観て「あぁ、とんでもないものを見てしまった」と思ったのではないか。
さらには、こちらも6月公開のアニメ映画『ルックバック』で、主人公・藤野の声を担当、その少し前、3月公開の映画『四月になれば彼女は』では、全編にわたって躍動する森七菜に割り込むように、一瞬だけ出演するシーンでの存在感に目を見張ったものだ。
そんな「河合優実ブーム」の決定打になるのは、第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞した、9月6日公開の主演映画『ナミビアの砂漠』だろう。
こちら、私は未見なのだが、公式サイトのトップページにどーんとアップになっているうつろな目に鼻ピアス付きの強烈な表情(必見)からして、高確率での成功を確信しているところである。
「かぞかぞ」が河合優実の原石っぷりを感じさせる
そんな2024年の「河合優実ブーム」以前、昨年段階での原石っぷりを感じさせるのが、現在再放送中の「かぞかぞ」である。
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