「5割できればOK」92歳シスターの"納得の境地" 「あきらめる」ことで人生が好転することもある
東洋経済オンライン / 2024年8月14日 15時0分
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があります。「自分にできる限りのことをしたら、あとは静かに天に任せよう」という意味ですが、まさにその通りだと私は考えています。
たとえば、怒らせてしまった取引先に謝罪をする、上司に報告するなど、ベストを尽くしたあとは「不安」になっても「無意味」なのです。身も蓋もない言い方に聞こえるかもしれませんが、「不安」はあなたを傷つけるだけです。
大切なのは「今、ここ」に生きていること
こんな話をご存じでしょうか。地面の中に種が2粒ありました。春の温もりを感じた2粒の種たちは、それぞれ「芽を出さなければ」と思っていました。発芽のためには、まず根を張る必要があります。
1粒の種は、不安で根を張ることができません。
「虫に、根を噛まれるかもしれない。地中深くまで根を伸ばすのは疲れそうだ。それに、暗闇で恐ろしいことが起こるかもしれない……」
もう1粒の種も、同じように不安で根が張れませんでしたが、思い切って根を張り始めました。自分の力を信じて、できる限りのことをしようと思ったのです。そして小さい芽を出し、どんどん茎も伸ばし、花まで咲かすことができました。
一方、不安に襲われて根を張らなかったほうの種は、あるとき地上に降りた大きな鳥に掘り起こされ、食べられてしまいました。
人間は、不安だからといって、何もせずにじっとしているほうが、幸せというわけではありません。少しくらい危なそうに見えても、ほんの少し、勇気を出して挑戦したほうが、結果的にうまくいくことだってあるのです。
未来のことを考えると、人間は不安を抱えてしまうものです。そして、まだ起こってもいないことを先取りして心配したがるという性質を持っています。あげくの果てに、取り越し苦労で自分自身を痛めつけたり、不幸にしてしまうこともあるかもしれません。
それは、「今、ここ」をないがしろにしてしまうことから起こります。もっとも大切なことは、未来でも過去でもなく、あなたが「今、ここ」に生きていることなのです。
とはいえ、いくら非建設的とわかっていても「不安」から抜け出すのは難しいもの。「不安」を乗り越えるためには、逆説的なようですが、考えられる限りの「最悪の事態」を思い浮かべてみてください。
たとえば取引先を怒らせて、契約が打ち切りになった場合を考えたとします。おそらく上司はあなたを叱るでしょうし、社内での評価も下がるかもしれません。ですが、人事異動やクビにまでつながるとは考えにくいものです。
あなたの忙しい日常は「続いていく」はず
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