成果を上げるキーエンス流のルールの作り方 目的を明確にするために課題を洗い出す
東洋経済オンライン / 2024年8月14日 13時0分
もし、こうしたルールを設定していないと、始業直後にトイレに行く社員が出てきてしまいます。確かに生理現象は防ぎようがありませんが、ルールを設けることで、社員は始業前にトイレを済ませるようになります。
ルールがあれば、万が一、始業直後に席を立つ社員がいた場合、「なぜ立っているのか」と注意喚起することもできます。このように、会社運営におけるルールや仕組みづくりにおいて、「課題を洗い出す」ことは非常に重要です。課題を明確にすることで、ルールや仕組みを作る目的が明らかになり、社員への説明もしやすくなります。また、社会情勢の変化に応じて柔軟に対応することもできるのです。
理想と現状とのギャップから課題を洗い出す
「課題を洗い出す」ステップでは、まず理想の姿を定義することから始めます。理想の姿とは、組織にとっての最終的な目標であり、多くの場合は売上や利益の最大化につながります。
この理想の姿を明確にすることで、現状とのギャップを把握し、課題を特定することができます。理想の姿を考える際には、売上・利益の最大化という大きな方向性を起点にするとよいでしょう。そこから一段階下げて、生産性の最大化やモチベーションの最大化といった、より具体的な目標を設定していきます。売上を上げるためには生産性を高める必要があり、そのためにはモチベーションを上げることが重要だと考えられるからです。
一方で、売上を上げるだけでなく、コストを下げることも利益を生み出すための重要な要素です。たとえば、物品の調達において相見積もりを必須にするルールを設けるなど、コスト削減につながる施策も理想の姿に含めることができます。
このように、売上・利益の最大化という大きな目標から、生産性やモチベーションの向上、コスト削減など、より具体的な理想の姿を描いていくことが大切です。そして、その理想の姿と現状とのギャップを分析することで、優先順位の高い課題を洗い出すことができるのです。
たとえば、既に出した例ですが、出社時間が9時半から10時に集中しているという現状があるとします。これに対して、生産性を最大化するために、全員が9時半までに出社することを理想の姿と定義したとしましょう。この場合、現状とのギャップが課題となります。
このように、日常の業務の中で理想の姿とのギャップを見つけ出し、優先順位をつけて課題を洗い出していくことが、問題解決の第一歩となります。課題を明確にすることで、解決策を考え、実行に移していくことができます。
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