データを意図的に悪用して解釈を歪める4つの例 グラフ作成者の意図にハマらない判断力を磨く
東洋経済オンライン / 2024年8月14日 12時0分
ChatGPTに代表される生成AIの登場は、私たちの生活やビジネスに大きな変革の波をもたらしている。加えて、AI技術を支えているのは、データサイエンスという学問であり、AIとデータサイエンスは、現代を生きるうえで必須知識となりつつある。
本記事では、NRIデジタル・藤田一樹氏の『0から始めるAI・データサイエンス超入門』より一部を抜粋・再構成のうえ、データを扱う際の注意点について解説する。
同じデータでも全く別の解釈ができる
データを可視化する際、最も重要なことは、「そのデータによって伝えたいポイントや明らかにしたい情報など、目的を明確にすること」です。つまり、そのデータを通じて何を伝えたいのか、どのような分析結果を導きたいのかを具体的に定義することが重要です。この目的が可視化の方針を決定し、データをどのように表現するか、どのグラフを選択するかに大きな影響を与えるのです。
日経平均株価の推移を1990年以降と2012年以降とで切り取ったときの違い
グラフの選択は、そのグラフから伝えたい情報や得たい情報の種類に大きく依存します。たとえば、時間の経過とともに変化することを示したい場合は折れ線グラフが適していますが、異なるカテゴリー間での比較を行いたい場合は棒グラフや円グラフが適しています。
もう1つ忘れてはならない重要なポイントがあります。それは、「データの可視化方法によって、同じデータでも全く違った解釈をすることができる」ということです。
たとえば、ある株価のデータを折れ線グラフで表現すると、トレンドや季節性などの時間に関する洞察を得ることができます。この折れ線グラフのデータを、どの期間で切り取ってグラフ化するかによっても見る人の印象を大きく変えることができるのです。34年にわたって最高値を更新することのできなかった日経平均が2024年2月にバブル期の史上最高値を更新して盛り上がる日本の株式市場のデータを例に、データの期間による解釈のポイントを解説します。
図表左の折れ線グラフは、2012年からの日経平均株価の年別推移を示したものです。2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興の中で、安倍晋三元総理が「アベノミクス」を打ち出し、コロナショックを経ながらも株価が伸びている様子が見て取れます。このグラフだけを見た人は、「株価は右肩上がりで上がるものであり必ず儲かるものである」と解釈してもおかしくないでしょう。
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