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データを意図的に悪用して解釈を歪める4つの例 グラフ作成者の意図にハマらない判断力を磨く

東洋経済オンライン / 2024年8月14日 12時0分

一方で、同じデータの期間をバブル期の1990年からに広げて作成した右の折れ線グラフを見ると全く違った解釈ができるのではないでしょうか。1990年の年始に3万8921円の高値をつけて以降、長年株価は低迷し、最高値を更新するまでに34年もの時間を要しています。このグラフを見た人は、「株価は長い間下落することもあり、損する可能性も高いものである」と解釈するかもしれません。このように、全く同じデータでも、グラフの作り方やデータの期間によって、異なった解釈を伝えることができるのです。

スケールの選択によって印象が変わる

もう1つ、データを可視化する際には、スケールの選択にも注意が必要です。不適切なスケールを選択することで、データの傾向や関係性が歪められ、誤解を招く可能性があるのです。たとえば、棒グラフのスケールを0から開始することなく、途中から開始することで変化の大きさを意図的に強調した例が以下のようなパターンです。

年齢別平均身長データから、中学1年生の12歳~高校3年生の17歳までの身長データを2種類の棒グラフで可視化してみました。左側は、スケールを身長0cmから開始したグラフとなっています。このグラフで見ると中学生から高校生の期間において、身長の伸びはあまり大きくないように解釈できるのではないでしょうか。

一方で、右のグラフのようにスケールを身長150cmからスタートすることで、対象の6年間において右肩上がりで身長が伸びているように印象を操作することができてしまうのです。棒の長さで値の大きさを表現する棒グラフは、原点から開始することを目的としたグラフの可視化方法であり、右のグラフのようにスケールを途中から開始することは、本来のグラフの目的から考えて誤っているのです。

可視化の力を悪用して意図的な解釈を生み出す

最後に、さらに悪意があると考えられるグラフによって、グラフを見る人の解釈を意図的に変えている例を紹介します。ぜひ、このような広告に出合ったとしても、グラフ作成者の意図にハマらない判断力をつけて欲しいと思います。

①軸が不均等な間隔で配置されているグラフ

グラフの目盛が不均等な間隔で配置されている場合、実際のデータの変化よりも大きく見えたり小さく見えたりすることがあります。このようなグラフを悪用して、本来は効果の小さいものを、大きく見せているグラフが存在します。

②歪んだ形の円グラフ

円グラフの場合も注意が必要です。円の面積で数値の大小を表現する円グラフですが、円の形を楕円や歪んだ形にすることで、グラフを見る人の印象を操作する例が存在します。このような、円グラフを確認するときは、グラフの面積だけではなく、数値そのものをしっかり確認して、正しく理解することが重要です。

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