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マネーフォワードとOlive統合で個人金融が変わる 家計管理と決済の一元化で個人金融体験を刷新

東洋経済オンライン / 2024年8月14日 9時30分

マネーフォワードにとって、三井住友カードの出資を受け入れることは「創業から12年間で最も大きな意思決定」(辻社長)だった。これまでマネーフォワードは金融機関から独立した立場で家計簿アプリを提供してきたが、サービスを発展させるには、金融機関との深い連携が不可欠と判断したようだ。

三井住友カードにとっても、急成長するマネーフォワードとの提携は、Oliveの進化に向けた大きな一手となる。Oliveではグループ内外の金融機関と連携するオープン志向のサービスとなっている。同社の大西社長は「マネーフォワードのお客様目線のサービス作りや、オープンな姿勢に共感した」と話す。

両社の思惑が一致し、わずか3カ月という短期間での提携合意に至った。

中立性が保てるかが命運を握る

マネーフォワードは長年、金融機関に対して中立的な立場で連携を行ってきたが、今回の提携により個人向け事業に関しては独立色が薄れる構図となる。これについて辻社長は「基本的にはわれわれはオープンでつなげていく立場で、そこはSMCCの大西社長にもご理解いただいている。各金融機関との連携はユーザーの同意前提で全て設計すると思うので、そこは垣根を作らず提供できるように設計している」と強調する。

新機能のうち、特にアプリ内でのドラッグ・アンド・ドロップによる簡易な振り込み機能の実現には、金融機関との更新系API連携が必要となる可能性が高い。三井住友カードの佐々木丈也専務執行役員は、この新機能について「顧客体験上の煩わしさをどの程度減らせるかを両社で検討している。なるべく早く実現したいが、具体的な提供時期は検討中だ」と説明する。三井住友フィナンシャルグループ以外の金融機関へも対応が広がるかは不透明だ。

"お金の見える化"にとどまっていたマネーフォワードのサービスが、三井住友カードの出資を受け入れることで、決済や金融など"お金を動かす"ところまで一元的に行えるようになるメリットは大きい。

一方で、マネーフォワードがこれまで金融機関と維持してきた中立性が損なわれるのではないかという懸念も拭えない。特にAIによる資産運用の分析機能などは、資産運用をOliveと連携するサービスへ誘導する形となる可能性があり、競合他社からの反発を招く恐れもある。

マネーフォワードと三井住友カードの提携は、金融のデジタル化が加速する中で、フィンテック企業と既存金融機関の垣根を越えた新たな動きとして注目される。ただ、競合他社を含めたオープンな連携をどこまで維持できるかが、サービスの将来性を左右しそうだ。

石井 徹:モバイル・ITライター

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