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高をくくっていないか「巨大地震」への財政の備え 復旧・復興の国債増発のため平時にすべきこと

東洋経済オンライン / 2024年8月14日 9時0分

わが家の備えを確認した人は多いだろう(写真:PIXTA)

8月8日に、宮崎県で最大震度6弱の揺れを観測したマグニチュード7.1の地震があり、これを受けて気象庁は南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表した。この発表は、南海トラフ地震臨時情報制度発足以来初めてのことである。

自然災害は起きてほしくはないが、いかに備えるかは重要である。残念ながら、いざ大きな自然災害が起こると、民間で大きな損害が生じる。

南海トラフ地震については、内閣府が2019年6月に「南海トラフ巨大地震の被害想定について(経済的な被害)」を公表している。これによると、南海トラフ地震が起きると、より被害が大きい陸側ケースで資産等の被害額は171.6兆円、波及して生じる生産の低下や交通の寸断などによる経済活動への影響額は合わせて42.1兆円にのぼるという。

政府が推計した資本ストック被害額は、1995年の阪神・淡路大震災では10兆円弱、2011年の東日本大震災では約17兆円だったから、南海トラフ地震は桁違いである。

巨大災害の後には債務が増大

この被害額や影響額の中には、国家財政状況の悪化や株価下落、物価高騰の影響は含まれていない。

これまでわが国で起きた巨大災害では、発災直後に政府が民間を財政的に支援してきた。その財源は、大半を国債で賄っていた。

内閣府の「国民経済計算」によると、巨大災害発生後のわが国の一般政府の債務残高は、次のような経緯をたどった。

阪神・淡路大震災が起きた1995年には、1994年度末の約402兆円から1995年度末に452兆円へと50兆円増えた。対GDP比でみると、1994年度末の78.5%から1995年度末には86.1%へと7.6%上昇した。

東日本大震災が起きた2011年には、2010年度末の約927兆円から2011年度末に約993兆円へと66兆円増えた。対GDP比でみると、2010年度末の183.6%から2011年度末には198.6%へと15.0%上昇した。

新型コロナが流行し始めて緊急事態宣言が出された2020年には、2019年度末の約1252兆円から2020年度末に約1313兆円へと61兆円増えた。対GDP比でみると、2019年度末の224.7%から2020年度末には243.6%へと18.9%上昇した。

政府債務対GDP比の上昇幅は、これらの年度を除いた1995年度以降の平均では5%程度だから、巨大災害発生の年には上昇幅が大きいことがわかる。

やはり、大きな災害が起こると、初動で政府が民間を支援することになり、その財源を災害直後は増税で賄うわけにはいかず、国債を増発して支援することになるから、このように政府債務は増大する。

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