中華ECサイト「Temu」のテレビ大量出稿に思うこと 芸能人も活用、知名度上昇も…"意識すべき"現実
東洋経済オンライン / 2024年8月14日 18時40分
企業人であれば納得してくれると思うが、企業の取り組みと世間の受け止めとのギャップがひどすぎて驚くことがある。たとえばSDGs。メディアがSDGsと連呼し、各種のイベントでも喧伝されている。またいまではどの企業のホームページを見てもSDGsがなんたらと書かれている。
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誰も信じていない社会的なフレーズ(SDGs、CSR、環境)
しかし、たとえばSDGsにすぐれた企業の売り上げが劇的にあがった、という話を聞かない。CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)に積極的な企業といってもいい。それら企業の商品を選んでいるか、といわれると、正直にいえば購入するときに意識すらしていないのが現実だろう。
たとえば商品Aと類似品の商品Bがあって、商品Aのほうが製造プロセスにおける二酸化炭素の排出量が低いとしよう。ただ、だからといって商品Aが選ばれることはない。感覚でいえば、さらに価格が3~5%高いのが上限値だ。それ以上の価格差があると選択肢にすら入らない。
たぶん消費者に「SDGsは大切だと思うか」とか「企業のCSR活動をどう思うか」と真正面から訊いたら「大切ですねえ」と答えてくれるにちがいない。しかし現実的には、多くの場合は安く買えるかどうかが重要で、それ以外の要素はあまり重要視されない。
現在、企業では二酸化炭素排出削減のコストを誰が負担するか話題になっている。材料切り替えや生産設備導入、新技術開発など、あらゆる費用が発生する。しかし、最終の消費者が負担してくれそうにはない。ならばサプライチェーンに点在するどこかの企業が負担するしかない。下流の元請けか、上流の下請けか。
ただこの議論は、そもそも奇妙だ。二酸化炭素の排出量削減に優れた企業がひっぱりだこになるのであれば、誰もが積極的に二酸化炭素の排出量削減に取り組む。該当コストの負担を押し付け合っている状況は、そもそも企業人が二酸化炭素の排出を減らしても意味がない、といっているように思える。
環境が重要だと人々はいっているものの、Z世代はファストファッションで何枚もの衣類を購入する。企業人も、企業活動を担うときにはSDGsと叫んでいるが、生活者に戻るとSDGsにかかわらず安価な商品を買う。人間とはそういうものだ、といってしまえばそれまでだが、なにかひっかかる。
ECサイトTemuの大躍進
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