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JR横須賀線「終戦で役割変わった」駅の稀有な歴史 街の中心駅でないが今や軍港巡りの観光拠点に

東洋経済オンライン / 2024年8月15日 7時30分

「対岸に位置していた横須賀製鉄所の建設に、フランス人技師フランソワ・レオンス・ヴェルニーが貢献したことから、フランス庭園様式を取り入れて再整備を行い、功績を称えてその名を冠しました。 園内にはフランス式花壇や噴水、洋風あずまやなどもあり、約1300株のバラが彩りを添えています」

市民の憩いの公園に

横須賀市はフランスのブレスト市と姉妹都市提携を結んでいるなどの縁もあり、横須賀の玄関口にふさわしい公園に生まれ変わらせ、市民や観光客の憩いの場づくりのために再整備を行ったとのことだった。駅の近くには「ヴェルニー記念館」もあり、横須賀製鉄所で使われた工作機械などが展示されている。

さらにこの公園内には、「よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸」という建造物もある。横須賀製鉄所副首長であったジュール・セザール・クロード・ティボディエの官舎として建築された、本州で最古級の西洋館を再現したものだ。

同市文化振興課は「計画時は(仮称)横須賀市近代遺産ガイダンスセンターと称していました。横須賀市内に点在する近代遺産の情報を集約・発信する拠点とすることで、新たな周遊を創出し、市内への集客促進を目指し、2018年から整備に取り組み、2021年5月29日にヴェルニー公園内に開館しました」と説明する。

これ以外にも横須賀駅周辺では、京急電鉄汐入駅の近くにあったアメリカ海軍下士官兵集会所(通称EMクラブ)があった場所に、1994年に横須賀芸術劇場が開館しており、同時期にホテルも営業を開始している。いずれも設計は丹下健三氏が担当した。

現在は観光の拠点

さらにこの横須賀芸術劇場とヴェルニー公園、アメリカ軍基地に囲まれた場所は、かつて住友重機械工業の敷地であったが、施設の老朽化に伴い商業施設に生まれ変わり、2020年には「コースカベイサイドストアーズ」としてリニューアルオープンした。

この商業施設の前からは、「YOKOSUKA軍港めぐり」の遊覧船が出ており、海の上から海上自衛隊やアメリカ海軍の艦船、そして横須賀駅周辺とヴェルニー公園を眺めることができる。

自治体のこのような舞台作りに対応するように、JR東日本は8月3、4日に上野東京ラインを経由して高崎駅と横須賀駅を結ぶ臨時特急「鎌倉・横須賀海まち巡り」を運転した。

横須賀線横須賀駅は鉄道好きにとって見所が多く、周辺の景観は近代日本の歴史を独自の角度から感じることができる。だからこそ多くの人が訪れようという気にさせるルートの構築を望みたい。

森口 将之:モビリティジャーナリスト

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