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フリーアナ「"体臭"騒動」で見えた怖すぎる真実 他人事ではなく、明日はわが身かもしれない

東洋経済オンライン / 2024年8月15日 15時35分

「発言はよくなかったけど、これで辞めなければいけないのか」「このくらいの発言でも会社は守ってくれない時代なのか」と冷たさを感じたのではないでしょうか。

その背景にあるのは「川口さんの社会的なポジションが自分たちとさほど変わらないのではないか」という感覚。「フリーアナウンサー」と言ってもキー局の元アナウンサーのような知名度や表舞台での仕事はなく、一般人に近い無名の人だから、そんなに叩かなくてもいいのではないか。

芸能人というより自分たちの立ち位置に近い彼女があっさり契約解除され、これだけ叩かれる世の中は怖い。もし自分も失言してそれが炎上したら、似たような苦境に陥るのかもしれない……。

事実、今回の件を報じる記事の多くが川口さんの名前ではなく「フリーアナ」「女性アナ」などと書いていましたが、これは裏を返せば「まだそこまで叩くほどのステイタスがない人」ということ。事務所の言い分はわかるけど、すでに彼女は相応の社会的制裁を受けているだけに、少しは守ってもいいのではないか。

「巻き込まれたくない」から放置

このところフワちゃんの不適切投稿と中丸雄一さんの不倫疑惑が相次いで報じられ、芸能活動を休止していますが、その流れに川口さんも当てはめて排除しようとするムードには違和感があります。

所属事務所だけでなく、取引先、先輩・後輩、共演者、恩師・友人なども「巻き込まれたくない」からなのか、これといったフォローなどの声は見かけません。ただ、フワちゃんに不適切な言葉を浴びせられて、それを許したやす子さんを「何で許すのか」と叩く理不尽な人もいる世の中だけにそれも仕方ないでしょう。

もし「よくない発言だったかもしれないけど、それでも自分は彼女の味方」「私は彼女のいいところや頑張っている姿を知っている」などと思っていたとしても発信すらできない不自由なムードを感じさせられます。

意識の有無を問わず、個人も組織も失敗した人を助けることができず、斬り捨ててしまう社会。しかも名誉毀損などの法を犯したわけではなく、公式のコメントとは言いづらいXの投稿でも容赦されません。

一度の失敗でイエローカードではなく、いきなりレッドカードの社会でいいのか。そんな社会で生きていくことを受け入れていいのか。

会ったこともない人を誹謗中傷してしまう一部の人ではなく、悪意なく“体臭論”“男女差別論”“SNSの投稿論”などを投稿する多くの人びとや、フォローなどをせず叩かれる人を見るだけの人びとがそれを考えていかなければ、さらに怖い社会になっていくのではないでしょうか。

【写真】冷たすぎる? 川口アナを即解雇した事務所のコメントを見る

木村 隆志:コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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