澤上篤人「日本が長期株高トレンド入りした3要因」 投資はマネーの大きな流れに乗っていくこと
東洋経済オンライン / 2024年8月16日 9時0分
東京株式市場は、8月5日に歴史的な大暴落をを記録しましたが、翌日には大幅反発となりました。日本株はいまどのような状況にあるのでしょうか。澤上篤人氏の新著『大波乱相場、お金はこうして守れ!』より、現状の株式相場の実態解明、トレンドを問わず誰もが活用できる投資手法についてご紹介します。
今は過去に例のない40年越しの株高
世界中で、ずっと株高が続いてきた。これって、1982年頃から今日まで続く、なんと40年越しの世界的な株高現象なのだ。
日本だけは1990年にバブルが崩壊して、長期の株価低迷が続いた。それでも最近になって34年ぶりに最高値を更新した。したがって、日本もやはり長期的には株高トレンドにあるといえよう。
ところで、1966年頃から1982年の前までは、アメリカでも「株式の死」といわれたほどの株価低迷が約17年も続いた。もう株価は上がらない、株式投資はやめたほうがいいと、経済専門誌が大特集を組んだほどだ。
そんな米国株だったが、1982年の8月から株価全般は上昇に転じて、ずっと今日まで続いている。株式の死といわれた頃から、なんと38倍の株高だ。
どうしてまた、ものすごい株高が40年超もの間、延々と続いてきたのか? 大まかにいって、3つの要因がある。
第1は、先進国を中心にした世界的なカネのバラまきだ。国や中央銀行がマネーを経済の現場へ大量にバラまいている状態を、「過剰流動性」という。
過剰流動性の下では、あり余ったマネーが経済活動の現場を越えて、株式市場など金融マーケットにも、どんどん流れ込んでいく。大量に流入してくるマネーが、株価などの上昇を強力に下支えする。
第2が、年金マネーによる、コンスタントな株買いである。年金として積み立てられるマネーは、今日まで増え続けてきた。その資金が運用を求めて、世界の株式市場や債券市場にどんどん流れ込んでいった。
膨れ上がる一方だった年金マネーが、運用を求めて株式市場などに次から次へと流れ込んでくる。それが世界の株価全体をずっと押し上げてきたわけだ。
第3が、大規模な金融緩和。2008年9月に発生したリーマンショックで世界は金融危機に直面した。金融不安をなんとしても阻止しようと、先進国を中心に主要各国はゼロ金利やマイナス金利政策の導入、ならびに史上空前の資金供給を断行した。
これは、金利を引き下げて資金を大量に供給しさえすれば、経済は成長する。そう主張する、マネタリズムの考えに沿ったもの。
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