「メガネの子が増えた」のはスマホが原因ではない 「外遊び」と「子どもの視力」の驚くべき関係
東洋経済オンライン / 2024年8月16日 7時0分
「自分たちが子どもの頃より、最近はメガネの子どもが増えたな」。そう感じている親世代は少なくないかもしれない。その感覚を裏付けるように、子どもの近視が急増していると警告を鳴らしているのが眼科医の窪田良氏だ。
2024年に著書『近視は病気です』を刊行した窪田氏と、子どもの教育事業に長年携わっている「花まる学習会」代表の高濱正伸氏が、「子どもの近視」をテーマに4回シリーズで対談する。
第1回では、なぜ「子どもの近視」が増えているのかについて語り合う。
「小学6年生の2人に1人が近視」の時代
窪田:高濱先生は普段から「外遊び」を推奨されているそうですが、私たち眼科医から見ても、本当に素晴らしい教育方針だと感じています。
これは私が最近いろんなところでお話しさせていただいていることなのですが、ちょっと衝撃的なデータがありまして……。
高濱:それは気になりますね。
窪田:2023年11月に文部科学省が発表した「学校保健統計調査」です。それによると、視力が1.0未満の子どもの割合が過去最多となったことが判明したのです。これはかなりショッキングな内容でした。
さらについ先日も、やはり文科省が「2年間で約1割の子どもが新たに近視になった」といったデータを発表しています。
高濱:知らなかったですね……。
窪田:データを詳しく見ていくと、裸眼で視力が1.0に満たない小学生は37.8%、中学生は61.2%、高校生になるとさらに増えて71.6%もいました。学年別ですと、小学1年生で約4人に1人が近視。そして小学6年生以上になると2人に1人以上が近視です。成人の近視割合はおよそ5割といわれていますから、小6時点で大人を上回ってしまっているのです。
高濱:まさかそこまで増えていたとは……。私は「花まる学習会」という、園児から小学生向けの学習塾を30年以上経営していますが、確かに小学1年生の教室に入ったとき、「メガネをかけている子の割合が増えているな」というのは肌感覚としてありました。
窪田:高濱先生も教育の現場でそう感じていらっしゃいましたか。あまり日本では認識されていないのですが、近視は将来、失明につながる深刻な眼科疾患発生率を何倍にも上げてしまう要因とされています。
「自分が失明するなんてありえない」と思われるかもしれませんが、日本眼科医会によると、まったく見えない、あるいは極度に視力が落ちている「視力障害」のある人は国内で推定160万人にのぼるといわれています。
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