結局、米国人は何を「決め手」に大統領を選ぶのか 選挙の相棒を「急進左派的」人物に決めた背景
東洋経済オンライン / 2024年8月16日 11時0分
なお、トランプ陣営はペンシルベニア州を落としてもまだ勝利する可能性はありますが、ハリス陣営にとっては「絶対に落とせない州」とみられています。
つまり、シャピロ氏を副大統領候補にしたらペンシルベニアは勝利が見えていたわけです。それなのに彼を選ばなかったのは、ユダヤ系のシャピロ氏は親イスラエル的であったため、イスラエル批判を高めている、民主党の中でも特に急進左派の人たちが難色を示したのではないかと推測されています。
ハリス氏自身、ネタニヤフ首相がアメリカに来たときに議会演説を欠席しています。そこから読み取れるように、イスラエルに対して批判的な点も副大統領候補選びに影響していると考えられますが、勝利に必要な選択ができない面で「ハリス氏は党内の左派に逆らうことができない、その気概がない」と見なされて決断力や実行力をネガティブに判断される材料にもなると指摘されているのです。
このような批判は日本の主要メディアではほとんど出てきませんが、CNNの方でも「民主党の副大統領候補、ワルツ氏起用の裏にある計算 後悔の可能性も」と報じています。ここで書かれている「後悔」とは、シャピロ氏を選ばなかったことを後悔するのではないかというニュアンスです。
今、アメリカの有権者が求めているのは強さだと思いますし、ハリス氏とトランプ氏、どちらが強さで上回るのか注目されています。だからこそ、ワルツ氏が選ばれた経緯をネガティブに解釈され、クローズアップされると、不利に働いてしまうのではないかと考える向きもあります。一方で、ここで指摘しておきたいのは、従来はバイデン氏に対して有権者が抱いていた「年老いて」「弱々しい」といったイメージは、現在はハリス氏よりもトランプ氏に向けられ始めているということです。
スイングステートでの戦いが勝敗の分かれ目
先ほどペンシルベニアでどちらが勝利するかが選挙戦のカギだと書いたように、スイングステートと呼ばれる激戦州での戦いが勝負の分かれ目なっています。
今回スイングステートとされているのは、アリゾナ、ネバダ、ウィスコンシン、ジョージア、ミシガン、ペンシルベニア、ノースカロライナの7州です。
米紙ニューヨーク・タイムズとシエナ・カレッジが8月初旬に行った世論調査によると、ラストベルトの激戦3州(ウィスコンシン、ペンシルベニア、ミシガン)の投票に行くと答えた有権者の50%がハリス氏を支持し、トランプ氏の46%を上回ったとされています。
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