結局、米国人は何を「決め手」に大統領を選ぶのか 選挙の相棒を「急進左派的」人物に決めた背景
東洋経済オンライン / 2024年8月16日 11時0分
しかし、環境問題を重視し(つまりは企業に対する規制強化)、増税する姿勢は、特に製造業の白人労働者層を多く抱えるラストベルトでは不利に働く可能性があります。
下記の資料は、大統領選において共和党支持者と民主党支持者が重視する論点についてPew Research Centerが行った調査をまとめたものです。
経済は共和党支持者が一番重視する論点であり、民主党支持者も3番目に重視しています。またここに記載はないですが、無党派層も経済を一番重視しています。
それに対して環境保護問題は民主党の支持者が2番目に重視、共和党の支持者は17番目に重視と、極めて低い結果になっています。アメリカ全体でみると、今は環境問題よりも経済問題が非常に重視されていると分析できます。
選挙の争点は「経済v.s.環境」に
今回の大統領選における重要な争点は「経済」か「環境」か、です。
8月頭にアメリカの株価が暴落し、経済が減速するのではないかと予測が出ています。11月の選挙に向けてさらに経済への不安が高まった際には、強い経済政策を打ち出しているトランプ氏に大きく有利になるでしょう。気候変動対策よりもまずは経済という風潮がさらに強まると予想します。
また、急進左派的政策にさらに拍車がかかるような副大統領候補を選んだという批判がさらに高まるような事実が判明し、これにハリス陣営が耐えられなければ、トランプ陣に有利になるでしょう。
ではどのような場合にハリス氏が有利になるのでしょうか?
それは明るい未来への期待、結束や団結が必要とされたときだと思います。「we are not going back」とハリス氏のポジショニングステートメントにあるように、トランプ氏の時代に戻りたくないと、未来への期待が重視される局面になればハリス陣営が勝利する可能性が強まります。
また、何か分断をあおるような事件が起こり、アメリカが結束・団結することを求められる局面でもハリス氏が有利になると思われます。
もっとも、ここで声を大にして指摘しておきたいのは、本当に目先の経済を重視して、気候変動問題への対応を置き去りにしていいのかということです。異常気象が世界中で最悪の記録を更新し、人々の生活に悪影響を及ぼしている今の世界において、経済や社会とバランスを取りながら地球環境問題に取り組み、世界を持続可能なものにしていく考え方が必要になってくるのは確実です。
だからこそ、そして今現在は経済が強く重視されているからこそ、選挙戦の行方はトランプ氏陣営に対抗できるような魅力的で現実的な経済政策を気候変動対策とともにハリス陣営が打ち出せるかがカギになってくるでしょう。
(構成・横田ちえ)
田中 道昭:立教大学ビジネススクール教授
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
カマラ・ハリスはなぜZ世代を落胆させた? 女性政治家が「ガラスの天井」を打ち破るために“重要なこと”
文春オンライン / 2025年1月10日 5時0分
-
トランプ新政権の日本への意味とは その3 トランプ氏の価値観が伝えられない
Japan In-depth / 2025年1月7日 12時56分
-
トランプ新政権の日本への意味とは その2「不法移民」という用語の誤り
Japan In-depth / 2025年1月6日 11時0分
-
トランプ新政権の日本への意味とは その1 日本側「識者」の誤認の危険性
Japan In-depth / 2025年1月5日 20時49分
-
【2024年金融・経済10大ニュース:2位】米国大統領選、トランプ氏が再選。次期政権にイーロン・マスク氏
トウシル / 2024年12月27日 20時0分
ランキング
-
1【速報】大学生暴行死 主犯格とされる18歳男ら2人の実名公表 少年含む4人を起訴 札幌地検
STVニュース北海道 / 2025年1月15日 14時39分
-
2【速報】維新・吉村代表 石丸新党と「連携もあり得る」「維新から出たいという候補がいれば両立可能」
MBSニュース / 2025年1月15日 15時55分
-
3モペットで事故、大学生2人逮捕=無免許で逆走、男性に大けが―警視庁
時事通信 / 2025年1月15日 17時36分
-
4「国はずるい」宮城の村井知事が憤り 旧優生保護法補償法で被害者対応を自治体に丸投げ
産経ニュース / 2025年1月15日 14時42分
-
5小学校花壇にシカの頭部か、岐阜 埋められた可能性、腐敗なし
共同通信 / 2025年1月15日 12時4分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください